ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ36)

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お邪魔します……やっぱりお邪魔しました。ページ36

どうやら、本日の江口家の夕飯は唐揚げなようで。

必要な材料を大量にかごへと入れていく江口さんと西山さん。

江口さんの奢りだからと、西山さんがお菓子やらジュースやらも遠慮なしにぽんぽんとかごへ入れていくものだから思わず江口さんの財布の中身が心配になった。

「ミケちゃんも好きなお菓子買いなよー！」

何故か、西山さんに言われて最初こそ遠慮していたものの、江口さん(本日のお財布さん)からも買って良いと許可をいただいたため、お菓子コーナーからとあるお菓子を3つほど選んでかごの中へと放り込んだ。

「待って、え、これ買うの？！」
「ミケちゃんまじか！」

江口さんからも西山さんからも笑われたけれど、どうしてもお菓子と共に入っているオマケが欲しかったのである。しかし、なぜそうも笑われるのか。

私にはよく分からなかったのだが、その理由は江口さんの家へ着いたときに初めて理解した。

「お、お邪魔します」
「どうぞー」
「なんで宏太朗が言ってんの？」

流石は超人気声優である。

住んでいる家もかなりお洒落で、家のなかへ入る前から緊張してしまった。

同業者のお家にお邪魔するのは、久野ちゃんと鈴村夫妻のお家以外初めてである。

ドキドキとうるさい心臓の音を耳にしながら一歩、江口さんの家の中へと入った瞬間、私は固まった。

「お邪魔しました」
「え、なんでなんで？！」

そしてくるりと踵を返し、帰ろうとした私を江口さんが慌てて引き止める。

西山さんが廊下を進み、部屋の奥へと入っていったのを確認してから江口さんに小声で抗議する。

「なんでこんなに靴がいっぱいあるんですか！」

玄関先にずらりと並べられた靴の数が明らかにおかしかったのだ。なんでこんなにいっぱいあるの？

「だってそりゃぁ、みんな来てるし」
「みんなって誰やこら」

年上だと分かっていても、思わず江口さんの胸ぐらを掴み上げて詰め寄る他なかった。

「宏太朗と壮馬、花江くん、雄馬、梅ちゃん、榎木くん、鈴木くん、武内くんです……黙っててごめんなさい！」
「それを先に言ってもらえます？？？」
「いやぁ、だって言ったらAちゃん来ないじゃん」
「当たり前ですけど？え、今から帰って良いですか？」
「えー！せっかく色々買ったのに！」

そう言って、今すぐに帰ろうとする私を一生懸命説得しながら中へと入らせようとする江口さんであった。そして私も私で、江口さんの説得に結局折れてしまったのである。無念……。