ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ3)

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とあるカノジョは語る。ページ3

私にとって声優とは、まさに天職であった。

アニメが好き。

歌が好き。

ゲームが好き。

お芝居が好き。

自分ではない誰かになりきることが好き。

演じることが好き。

そんな私が見つけた大好きな仕事。

誰にも負けたくない、取られたくない仕事である。

だからこそ頑張りたいと思っているのに、やはりどこに行ってもついて回るのはその仕事先の人間関係で。

一寸先は闇である声優業界で生き残るために、仕事をもらうために、先輩たちに可愛がってもらえるように。

人と会うのも話すのも実は苦手な私が一生懸命、より良い人間関係を構築するために作り上げたのは明るくて人懐っこい、誰がどう見ても可愛い偽物の私である。

偽物の私を作り上げながら、声優活動17年目を迎える今年の春。

17年間必死に頑張ってきてようやく気づいた。

あれ？私、心を開いて話せる本当の友人って久野ちゃんしかいなくない？と。

素の自分をさらけ出すことのできる友人が、同じ事務所に所属している先輩の久野美咲ちゃんくらいしかいなくなってしまったのである。けれど今さら、これが本当の私です、とは言い出しにくいものがあって。

私は即座に、本性をさらけ出すことをあきらめた。

「まあ、いっか！」と。

たとえメンヘラ気味の依存体質で、

「久野ちゃんが声優やめたら、わたしもやめるからね！」

常にマイナス思考で暴走しまくっていても、

「私なんていなくても何の問題もなく地球は回っていくんだよ！ぴえんぴえん……あーっ、悲しいよぉっ！！！」

久野ちゃんがいてくれれば、何の問題もないよね！

「何も良くないよ？！わたしの意見は？！」