求めているものと求められているもの ページ16
先日、御本家様である沢城さんとともにやった不二子ちゃんのように、私はどちらかというと色っぽい、大人の女性を演じることが多い。だから、演じる役はメインキャラのお姉さんやお母さんばかり。
本当は可愛い女の子をやってみたいのだが、自分が求めているものと、周囲から求められているものが違うためその願いはなかなか叶わない。
「Aちゃんの役、凄い狂ってたね」
「そうですね……演じてて私も怖かったです」
今回もそうだ。
念願の名探偵コナンに出演することとなり、犯人役を演じたのだが、その役のまあ狂ってること。
隣で灰原 哀ちゃんを演じていらっしゃった林原めぐみさんが、此方を二度見するくらいである。
「最後の高笑いで鳥肌立ったんだけど、あの声どっから出してるの?」
収録終わり、林原さんに心底不思議そうな顔で尋ねられてしまった。
「喉ですね」
「いや、それは分かってるんだけどね?!」
今回のお話はアニオリだったため、私が演じたのは※野上 さや子という原作には登場しないキャラクターである。
「長いことAちゃんの声聞いてきたけど、あんな声は初めて聞いた気がする」
「私も、あんなに叫んだの初めてです」
恋人を横取りした女が黒髪ロングだったからと、その女の姿と似たような黒髪ロングの女性を次々と殺害していった連続殺人犯の女性で。それが怖いのなんの。
最初は困っている少年探偵団に優しく手を差し伸べるとても親切なお姉さんとして登場するのだが、コナンくんが、彼女が犯人だと言い放った瞬間にとつぜん豹変するのだ。
奇声を発して泣き叫び、最後には高笑いしだすものだから共演者の皆様、ドン引きである。
今日は高木 渉さんや高山 みなみさんと言った、ベテラン声優さんたちから「喉、大丈夫?」と心配されてしまうくらいには叫んだ気がする。
「この後も仕事?」
「そうですね、まだちょっとあります」
「のど飴いっぱいあげるわ」
「ありがとうございます。助かります」
林原さんから、両手いっぱいにもらったのど飴。その中からイチゴ味を選んでひとつ、口の中へと放り込んだ。
コロコロ、飴を口のなかで転がしながら考える。
果たして、あのキャラクターがコナンを楽しみにしているお茶の間の子供たちに受け入れてもらえるのだろうかどうか、と。だがしかし、いくら考えても子供があまりの怖さに泣き叫ぶ姿しか想像できなかった。
絶対怖がられるし、コナンの数あるトラウマ回の仲間入り確定である。
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リンリン(プロフ) - オチは1番か3番希望です (2022年5月19日 16時) (レス) @page46 id: 68dd5d6199 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - アカリさん» かしこまりました。少々お待ちいただけると嬉しいです。 (2021年12月18日 12時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ジェラートさん» ありがとうございます。参考にさせていただきます。 (2021年12月18日 12時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
アカリ(プロフ) - 石i川i界i人さんとの絡みが見たいです (2021年12月11日 13時) (レス) id: 2ff7c7d1e3 (このIDを非表示/違反報告)
ジェラート(プロフ) - オチは2希望です (2021年12月5日 21時) (レス) id: 9bd892b1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2021年10月18日 9時