檸檬爆弾ノ夢 『9』 ページ9
「あらよっと!」
「フギュッ!」
車掌室に見事移動成功、足元から蛙が潰された様な声が聞こえ、何か地面より柔らかい物を踏んでいる感覚がした。
私は何か、電車の床ではない物を踏んでいる。其の自覚はあるが、確かめる気など更々無い。私が第一に考えなければいけないもの、其れは人虎の安全兼ね生死である。
「き、きみは………」
「あ?」
此方は急いでいると云うのに、一歩踏み出しかけた右足を力強く捕まれ歩みを止められた。
「A…………じゃないか。」
私の足を掴み離さない不届きものは何処のどいつだ、キレ気味で下へと目線を向ける。すると其処にはやけに顔色は善いが、ぐったりと力なく床に横たわる梶井の姿。
ところどころ解れてしまっている白衣に身を包み、趣味の悪い実験ゴーグルを装着させている、3年前と何ら変わりの無い梶井が居たのである。
「なぜ……きみが僕の前に?きみは3年前に死んで…………そうか、此れは夢か。」
変装しない、ありのままの姿を見られ不味いと冷や汗をかく。
「あーそうそう、此れは夢ですよ梶井。お前は寝てるんです。」
然し、今の梶井は意識が遠退きかけ、寝言のような戯れ言を口にしている。後々誤魔化すのも面倒だ。此処は無理矢理にでも夢だと押しきってしまおう。
「そうか、此れは夢なのか。」
「そうそう、死んだ人間が生きてる訳無いじゃないですか。科学の申し子である貴方が、幽霊だなんだと非科学的な事を云わなくて安心しましたよ。」
「矢張り、きみも幽霊は非科学的だと思うか。」
「勿論です。其れじゃ、私は此れで。」
「ああ、夢の中だけでも、きみに再び会えたこと、うれしくおも――――ぐー」
梶井はハッキリしない口振りで、死んだように眠りについた。
ポートマフィアの拠点にて
「梶井、手前何時にも増して機嫌が善いじゃねェか。」
「そう云う中也殿は何時にも増して機嫌が悪い。」
「嗚呼、一寸な。で、手前は何でそんな上機嫌なんだ?」
舌打ち混じりに中原は問う。何故己の機嫌が悪いかは答えて呉れないらしい。
梶井は触らぬ神に祟りなしと、それ以上は追求せず、鼻唄を歌い乍ら口を開いた。
「強いて云うならば、悲しくも嬉しい夢を見たからですかねェ。」
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櫻餅(プロフ) - まゆさん» コメント有難う御座います。現在更新停止中ですが、また更新できるように頑張りたいと思っております。 (2019年5月3日 9時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年5月3日 1時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ラズさん» コメント有難う御座います。現在ネタ切れによる更新停止中で申し訳ありません。もう一度お話の流れを整えて、また更新できるように頑張っていきたいと思っておりますので暫くお待ちいただけると嬉しいです。 (2019年4月30日 21時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
ラズ(プロフ) - 凄く面白いです！続き、続きを下さい!! (2019年4月30日 12時) (レス) id: 8609e55ade (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - アイカさん» 中々次の話への展開の仕方が思い付かず更新が停止している状態ですが、また書けるように頑張りたいと思っています。コメントありがとうございますm(__)m (2018年6月13日 22時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年8月21日 13時
