文豪ノ愛情表現 『6』 ページ6
「敦くん、探偵社で怪我だけは絶ッ対にしちゃ駄目だよ。」
頭を抱え、その場でしゃがみ込み、プルプルと生まれたての小鹿のように震える谷崎くんは大変不憫なものである。
「マズいと思ったらすぐ逃げる、危機察知能力を日頃から養っておくべきだね。
たとえば……今から10秒後。」
乱歩さんが使い込まれた懐中時計を細い目で眺め出した。
私は厭な予感がして直ぐ様乱歩さんが座っていた机の後ろに隠れる。其処には今だに震えている谷崎くんの姿があった。
「まだ震えとッたんかい!」
「否、其の危機って云うのが―――」
「ふぁーあ、寝過ぎちまったよ。」
大きな欠伸と共に与謝野女医がやって来た。
「ああ、新入りの敦だね。どっか怪我してないかい？」
その場には逃げ遅れた敦くんただ一人。此れから何が起こるのだろうかと、机の陰からそっと様子を覗く。
「いえ、大丈夫です。」
「ちぇっ」
何処かで聞いたことのある舌打ちだ。
「ところで、誰かに買い出しの荷物持ちを頼もうと思ったンだけど………アンタしか居ないようだねェ。」
キョロキョロと辺りを見回すも誰も居ない。私達が忽然と消えている事に今更気付いた敦くんが鈍くて少し可愛いなと思った。
ところで、全然意味を理解しないまま身を隠したけれど危機って真逆…………与謝野女医の買い出しの荷物持ち？
「判らないまま隠れたの?!」
隣で膝を抱えていた谷崎くんに訊ねてみると、目を丸くして驚かれた。
「取り敢えず、悪寒がしたから隠れてみた。」
「嗚呼、なるほど。」
何かを理解したような、可哀想なものを見るような表情を浮かべるが、君は一体全体何がなるほどなのかな？
「何時も太宰さんに振り回されてる分、危機察知能力が高いのかもしれないね。」
「嗚呼、そういうこと………」
彼の言葉により、私の目から一瞬にして光が消えた。
正体がバレて私に対する太宰さんの態度が一気に変わり、パシられ弄られ厭がらせを繰り返しされていた。其の光景をさながら、日常の一部だと云わんばかりに常日頃眺めていた谷崎くん。彼の同情の眼差しは其のせいであった。
「谷崎くん、其の目やめて………。」
「先刻の仕返しだよ。」
「本当にすいませんでした。」
太宰さんめ、帰ってきたら覚えておけよ。
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櫻餅(プロフ) - まゆさん» コメント有難う御座います。現在更新停止中ですが、また更新できるように頑張りたいと思っております。 (2019年5月3日 9時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年5月3日 1時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ラズさん» コメント有難う御座います。現在ネタ切れによる更新停止中で申し訳ありません。もう一度お話の流れを整えて、また更新できるように頑張っていきたいと思っておりますので暫くお待ちいただけると嬉しいです。 (2019年4月30日 21時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
ラズ(プロフ) - 凄く面白いです！続き、続きを下さい!! (2019年4月30日 12時) (レス) id: 8609e55ade (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - アイカさん» 中々次の話への展開の仕方が思い付かず更新が停止している状態ですが、また書けるように頑張りたいと思っています。コメントありがとうございますm(__)m (2018年6月13日 22時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年8月21日 13時
