狐憑ノ愛情表現 『2』 ページ2
「死なないでって前に云ったじゃないですか………私を置いて、死なないでって、そんな事も忘れちゃったんですか此の包帯無駄遣い師匠!」
次々と流れ行く涙を拭うことも忘れ、目の前に居る中途半端な木乃伊男のような元師匠に訴えた。
国木田さんに頼まれて仕事の途中で失踪した太宰さんを探しに来て数分、やっとのことで見付けた彼は又もや冷たい川の中。
急いで川から引き上げるも彼の躯はすっかり体温を失くしてまるで死人のようであった。
白い顔は更に青白く、僅かな呼吸音が聞こえるだけでぴくりとも動かない太宰さんに焦りが募っていったのである。
このまま目を覚まさないのではと、次第に不安は大きくなっていき、また一人になる恐怖に襲われた。背筋がぞくりと凍りつく。
疾く彼を起こさなくては、死を求める彼の事だ、死ねると判れば直ぐ様あの世へ足早に行ってしまう。
私は何度も何度も彼の名前を呼んだ。
大きな声で、少しでも深く眠りについた彼に届くように。
お願い、目を覚まして………そう懇願し、一筋の涙が頬を伝った時――――「A………ちゃん？」耳を擽る独特な甘い声が、膝上から聞こえてきた。
ふと、視線を下へやる。其処にはぱちくりと目を瞬かせ、いまいち現在の状況が理解できていない太宰さんの姿があった。
先刻の今にも天に召されそうな蒼白な顔とは裏腹に、今の太宰さんは血色の佳い頬をしていた。
生きている、ちゃんと彼は生きていると実感が沸き、我慢し続けていた涙が途端に溢れ出てきた。
川に入るために脱いだかつらに、分厚い眼鏡は私の横で無造作に転がっている。
今の私は佐倉 Aの姿、太宰さんに本来の姿を見せている事も気にせず泣きじゃくったのだ。
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櫻餅(プロフ) - まゆさん» コメント有難う御座います。現在更新停止中ですが、また更新できるように頑張りたいと思っております。 (2019年5月3日 9時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年5月3日 1時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ラズさん» コメント有難う御座います。現在ネタ切れによる更新停止中で申し訳ありません。もう一度お話の流れを整えて、また更新できるように頑張っていきたいと思っておりますので暫くお待ちいただけると嬉しいです。 (2019年4月30日 21時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
ラズ(プロフ) - 凄く面白いです！続き、続きを下さい!! (2019年4月30日 12時) (レス) id: 8609e55ade (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - アイカさん» 中々次の話への展開の仕方が思い付かず更新が停止している状態ですが、また書けるように頑張りたいと思っています。コメントありがとうございますm(__)m (2018年6月13日 22時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年8月21日 13時
