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あれこれ悩んだがこれ以上返事を待たせるのは流石に失礼だと思いメールを開く。肯定の意を示したら、大丈夫な日を教えてくれたら迎えに行くよ、と2時間も経たず返ってきた。携帯をポケットに締め、呼吸を整える。真の難関はここからだ。
「サトル、明日ちょっとミカと出掛けたいけど…」
『?言いたいことがあるならハッキリ言えよ』
「ひ、一人で行きたいデス」
は?底を這いばる声に苦笑いを浮かべる。私だってプライバシーがあるわけだし…。そう濁すとお前が?という目線が返ってきて、少し残っていた罪悪感さえも姿を隠す。
私だって17の乙女だって!
『…分かった。正し、夕方前には帰ってこいよ』
長い説得と言う名の嘆きを繰り返し、やっと許可が降りた。渋々だが許可には違いない。
サトルがいない、一人での外出なんて10年ぶりだ。楽しさや期待よりも心配が勝つ。自分で言い出したくせに、笑いも出ない。不気味に聞こえる鼓動を隠すように布団を頭まで被る。
「…おやすみ」
おやすみ。布団越しで聞こえてくる返事に安心しながら目を瞑った。
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「行ってきます!」
追われるように玄関から飛び出した。突然の大声に驚いた黒猫が足早に逃げ去る。猫を追っていた目がふと、壁を沿い2階にある私の部屋に向かう。
窓側で私を見ていたサトルと目が合い手を振ってあげた。行ってらっしゃいも言わなければ手も振ってくれない。それでも張り付いた視線は大通りに抜けるまで離れなかった。
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作者名:みゃん | 作成日時:2022年9月12日 14時