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人生って思い通りに行かないモノだと実感したのは、あれからたった4時間後である。
「サトル!」
ちゃんと扉を閉め、威厳のある声を絞り出す。すると、サトルはあざとく首を傾げながら何で怒ってんの?と聞いてきた。
でも舐めないで欲しい。こっちはもう10年も一緒にいるんだ。惚けてるってくらい、分かってる。黙り込んでサトルを睨めていると惚けが通用しないと悟ったのかそっぽを向いた。
『…彼奴がした時には喜んだくせに』
不服そうな声が部屋に響く。思いもしなかった理由に目を丸くする。カナエくんが耳打ちしたことを気にしていたなんて。驚きは一瞬にして笑いに変わった。サトルは見事なしかめっ面になったがそれでも笑顔が絶やされることはない。
「サトルも可愛いとこあるんだね」
『は?』
「私がカナエくんと仲良くなって嫉妬したんでしょ?」
サトルが口を結んだ。図星のようだ。そりゃ、私とサトルの仲だし何を考えてるかなんてお見通しだ。
「友達を奪われるみたいで嫌だったよね。心配しなくても私の大親友はサトルだよ」
『……お前、バカなの?いや、バカだよな。お前がドの付くバカだということを忘れてたわ』
今、バカって3回も言った。
そのバカスリーコンボで私のライフはゼロだ。気持ちを察して慰めてあげたのに貶されることある?
「バカって言った方がバカだし、バカ!」
『ブーメラン乙ー』
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作者名:みゃん | 作成日時:2022年9月12日 14時