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『Aーもう今日は家帰ってカービィやろー』
「今出たばっかだよ。しかもそれ先週にサトル、一人で全クリしたじゃん」
『じゃ、マリオ』
「それはその先週ね」



 どんだけ行かせたくないのよ。サトルはめげずに最後の最後まで言い寄ってきた。全部断ると不貞腐れた顔をしては私に凭れかかってる。非常に歩き難い。



『バカA』



 最後の足掻きも通じないと悟った途端私の悪口を叩いてる。外だから私はただそれを聞き続けるしかなく、こいつもそれを知った上でやっている。クズめ。ふぅ、溜息を吐いてると三人の姿が見え初め足を早くした。



「遅れてごめん!」
「いいよ!私たちも来たばっかだし」



 ずっとこの日を待望でいたミカはオシャレな服で着飾っていた。私を見つけては明るい笑顔を浮かべ、後ろの二人を紹介してくれた。ミカが好きな幼馴染みくんがサイトくんでその友達がカナエくん。



 続いて私も自己紹介し、今日の本命の遊園地に向かう。













「丁度4人だし2人に別れて行動しない?」
「俺は構わないけどミカとAさんはどう?」
「わ、私もいいよ!」



 チケットを配りながらカナエくんが意外な提案を出した。いや、意外ではないな。初めて会った時からカナエくんの目はこっちに釘付けされてたんだから。



 まるで私の後ろのサトルを見ている様に私から少しズレた視線。2年前の出来事が蘇り体が震える。一番近くにいたサトルだけがそれに気付き手を重ねた。まるで大丈夫だと言っているような、心を落ち着かせる重み。



「Aちゃん?ぼーっとしちゃってどうしたの?」
「え、あ…、ちょっと考え事してたごめん。私もいいよ!」



 ミカのデートを台無しにするなんてできない。体調が悪いんじゃないかって心配してくれるミカをサイトくんに任せ、二人を見送る。二人の姿が人波に消えかけた所でカナエくんが口を開いた。



「あの、可笑しく聞こえるかも知れないけど…後ろのそれ、見えるの?」
「……そういうカナエくんも見えるんだ」



 ちょっと話しない?初対面で攻撃からしてきたあの男とは違いカナエくんに攻撃意思はなさそう。だが油断してはいけない。警戒しつつも人を巻き込みたくはなかったので人が少ない迷路に入る。

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作者名:みゃん | 作成日時:2022年9月12日 14時

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