【歌い手】本当にお前らにあえて良かった。【能力パロ】【学パロ】【番外編】 (ページ5)

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「はは、最初からこうしておけばよかったんだ。」
T「え、あ……」
「個性が使えないか？そうだろうな。毎度毎度お前を苦しめていた首輪をまた付けたのだからそうだろうな。」
T「な、んで、……？」

私の後ろに立っていたのは私の移植を担当した先生だった。確かに腕は凄い人だった。それでも私を見る目はまるで見定めをしているかのようだった。母や父が居ない間に乱暴してきた先生。

でも今はそんな事はどうでもよかった。目の前の母さんを助けられれば。私は能力制御装置が首にある事に気づいてそれを壊す。そして母さんの胸に手を置いて何度も勉強した治療を続ける。……これ以上私が壊させない。壊さないようにしなきゃ……

「！何故それを壊せた……！！何だこの壁は……！！」
T「かあ、さ、起きて、おきてよ。」
「何を言ってる……！！ソイツはもう……！！」

死んでいるとかどうでもよかった私は母に生きて欲しいという思いで治療し続けた。それでも出てくる血液をどうしても無くせなくて。

＿＿その時、私の周りに糸が舞う。そして母は私の手を掴んだ。
でも、"冷たかった"。

T「……！！かあ、さ……！！」
百合「……いい、A。死者は蘇らないのよ。私は私の能力で生き延びられただけ。……でもこれはお兄ちゃんとお父さんに言っちゃダメよ。」
T「なん、で……！」
百合「……さてと……私の娘によくもやってくれたわね……？」

母さんは初めて私に怒りを魅せた。……私に対してではないけれども怒りを魅せる母は本当に強い人だと思った。
彼女の使う糸は誰も解けない。母さんは本当に強いと思っていたけれどこれほどとは思わなかった。

＿＿自身の心臓を糸で縫い合わせてもう長くない状態だという事も敏い私にはわかっていた。

～～～

＿＿あの後、気づいたのは先生がやった事だった。

旅行で使っていた車のタイヤがパンクして、崖にぶつかったそうだ。運転していた私に迫っていたガラスを父が砂にしたそうだった。後ろに乗っていた母は兄を庇い、爆発に耐えたという。

しかしそれ以上に母が車のガソリンの近くにいたのも相まって母は大きな火傷を負った。
私の治療がなければこうして私の事を抱きしめている母は存在していないだろう。

「愛しているわよ、A。聖。」

＿＿全ては定まりきっている。母の暖かった手はこの日から冷たくなった。それでも母としてとても強い暖かな存在だった。

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今回はここまで……