【歌い手】本当にお前らにあえて良かった。【能力パロ】【学パロ】【番外編】 (ページ15)

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-3年後-

srr side.

T「ふぅん、それが初恋だったわけですか。」
そ「自分から聞いてきた癖に随分と……」

Aと東欧学園の図書室にて話していた。

魔王討伐も終わり、俺達も手が空いてきたからお祝いとして何かするか、という話だった筈なのにいつの間にか初恋の話になっていた。今時の高校生は恋バナが好きらしい、というAの意味不明な発言によって。

T「まぁそれで？拒絶されたのに健気に手紙まで置いて……」
そ「いうな……」
T「言ったのは君だけれども。」
そ「……そうだな。」

毎度毎度思う。本を読んでいるAが中学時代に会ったあのAに似すぎている。名前も同じだから同じなんじゃないかと勝手に思っている自分がいる。

T「その子とは連絡とってんの？」
そ「いや、俺が高校に入った後から連絡が取れなくなった。」
T「そっか。」
そ「でも多分同じ高校にいると思うから。」
T「だから生徒会長になったわけ？」
そ「グっ……！！」

単純だね、と笑う。声も戻って調子も出てきたようだからとても流暢なしゃべり方をする。あまりしゃべらない性格なのかと思っていたけれど喉に負傷があるからそこまでしゃべらないだけ、といわれて納得した。俺だったら一言もしゃべりたくないもん。←

そ「そういうAは初恋は誰なの。」
T「え？兄貴。」
そ「……マジか。」
T「まぁ小さい頃だけどね。……でも告白しときゃよかったな～って思う恋はあったよ。」
そ「へぇ、行動派のAが珍しい……」
T「中学の時だから。」

少しからかうと頬を膨らませる。そういうところも彼女に似ているのだ。どうしてもAを彼女に重ねてしまう。

T「そうだね。……本当に私としては初めての失態だったかな。」
そ「そこまで……」
T「……うん。だって全然気づかれなかったし。」
そ「あぁ……」

俺にすればいいのに、といおうとして喉の奥に詰めた。こんなことを言えるたちじゃない。初恋の人間と重ねてしまっている俺が。

T「そうだな。あの時期は話せなかったから困ってたときに声かけられたんだよ。その時の本が少しストーリーが幼稚めだけど文章がクソむずくて中学生には読めないって直に突き返されたやつ。」
そ「……ん？」
T「私が好きなのは魔女と主人公のジェネレーションギャップコミュニケーション。」
そ「え？」
T「……そろそろ気づけバーカ。」

そういって笑う彼女の筆箱の中には俺が渡したノートの切れ端があった。

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