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あの後、俺は救急車で運ばれた。

あの先輩は俺の歌い手……メビウスのガチ恋勢らしく、俺の家も見つけているというとんでもない害悪ファンだった。

『(寿命縮んだかと思った……)』

とりあえず家を引っ越そうということになって病院を退院したあと自分の部屋を片付けていた。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ、ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙﾙ………
『(？直か？)………もしもし。』
「あ………A君A君A君A君A君」
『！！』
ガタンｯ！
「やっぱりこの電話だったんだね！今から会いに行くから待っててね、ね、？」

俺はゾッとして携帯を壊す。そして家の固定電話で直に連絡して家を出る。

「あ、A君だぁ。」
『！！』
「家変えてなかったんだぁ。ダメだよぉ、私以外呼ぼうとしちゃ♡」
『ｸｯ………』
「やっぱり私達は運命なんだよ！」

そう言いながら俺に近づいてくる先輩が怖くて発作のトリガーを引いてしまいそうだった。

その時ｺﾞﾝｯ、という音がして先輩が倒れる。
俺の方に倒れてきたので家の玄関の奥まで逃げる。

N「A！！平気か。」
『直………』

直がゆっくりと俺の方に近づいて抱きしめてくれる。先輩や他の人達とは違う生ぬるさ。でも今の俺には丁度良かった。

だがそれで終わってくれるほど人の恨みは浅くない。

先輩が起き上がって直にナイフを向ける。
俺も振り上げるまで気づかなかった。直は気づかない。

『ｯ！！(間に合わないｯ！！)』

直に今言っても怪我をする。かといって俺が止めるとしたら余計に悪化することになるだろう。

それでも──

俺は先輩のナイフを手のひらで受け止める。俺の手から血が吹き出して直の背中にかかる。そこで直は気づいたのか俺の方を見る。

『………帰れ。これ以上俺の相棒を傷つけるようなら容赦はしない。』

力強く睨みを聞かせると先輩は怯んで夜の微睡みに逃げていく。だがそれで終わりだ。警察に先輩は捕まって連れて行かれる。

俺はというと直と事情聴取を受けたあと、協力者の家に行く。

『……すまん。助かった。結』
Y「本当に兄さんは無茶し過ぎ！今日はうちに泊まりな！直くんもね！」
『あぁ、助かる。』
N「すまんなぁ……」

もーいいから！と言って結は俺達を迎え入れる。

さっさと風呂に入って用意してくれた布団に入る。
だが寝ることができずにスマホでエゴサする。そしてそのまま夜を明ける。