One ball Concertric. "0" (ページ6)

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「……私が、プロに…」

日の暮れる時間が段々と短くなってきたこの季節、
私の元へ訪れたのは阪神タイガースのスカウトだった。

あの灼熱の夏が終わり、
それぞれがそれぞれの道へ歩み始めた。
ずっと隣に居た晋太郎はプロへの志願届を提出し、来たるドラフト会議が近づくにつれ様々な場所で名前を挙げられている。

それを横目で見ながら、内心羨ましいなと思って、
でも決して野球を辞めるなんて選択肢が無い私は漠然とした不安を持って日々を過ごしていた。

「……野球が好きです、この気持ちに偽りは無いです

本当に私がプロ野球選手になれるのなら、それを私が証明します」

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ドラフト会議当日はとんでもない騒ぎだった。

競合必須と言われていた晋太郎は4球団から1位指名が入り、抽選の結果阪神への入団が決まった。学校側が用意した会場には溢れんばかりの記者が取材に訪れ、シャッターを切る。

そんな中で特別枠として私の名が呼ばれ、
かつて対峙した大谷翔平を日本ハムファイターズが強行指名した。

あまりにも異例の事だから騒然となることはさすがに身をもって理解していたつもりではあったけど、甲子園に出ていた時なんかより想像を絶する様な言葉が向けられた。

_さすがに女がプロ野球はムリ
_身の程知らずもいいところ
_藤浪のオマケ
_取った阪神ただの話題作り

「……結果以上のものを残してからが私への評価や」

大好きな野球をやれる、
大切な人とこれからも隣に立っていられる、

「"全部勝てばいい"」

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