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_2012年春
「……大谷翔平ねぇ」
森「うわー、何その反応
あんなにテレビとかで言われてんのに」
「別に周りの声は関係ないやん
相手が誰であろうと試合に勝つこと以外に必要なことは何もない」
森「アリスちゃんも同じ様に騒がれてんのに」
「興味無い」
森「バッサリ過ぎる」
憧れの甲子園出場を果たし、
抽選会の結果、初戦の相手は花巻東。
早くもドラフト指名確実と言われ再注目選手であるふたりが初戦で投げ合う事もあり、周囲からの声は日に日に増していく。その中で女である私に対して向けられる好奇の目があることも知ってる。
でもそんなのどうだっていい。
甲子園出場が決まってから、「初めての女子選手甲子園出場」という事実は分かりやすく世間の興味をひいた。知らないところで知らない誰かに無責任な言葉を向けられては捨てられてきた。
高校生と言えど、取材が来ればそれ相応の対応をしなければならない。野球と関係ない学校生活まで変に特別に見られてしまう。
酷く嫌気が差した。
女に生まれたのがなんだ、
甲子園に出るのがなんだ、
私は昔からずっとこの世界で戦ってきた。
今更、勝手なことばかり言うな。
"アリス、全部勝てばいいよ"
それは目が覚める様な言葉だった。
誰にもわかりやすいほど簡単で難しい。
でも、この言葉以外に必要なものなんて何も無い。
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「まさか初戦緊張してるとか言わんよな?」
藤浪「Aが相変わらず過ぎるんじゃない」
「普段とはちょっと違うよ
ただ楽しみで仕方ないだけや」
藤浪「それは頼もしい限り」
私は私の為に野球やってんだ。
勝ちたいからここに来てるんだ。
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作者名:まめだいふく | 作成日時:2024年3月18日 19時