過去の君へ【佐野玲於】 (ページ18)

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疲れはページ18

汐留で仕事が終わった23時。
自宅に向かう移動車の中でネットサーフィン

明日は午後からだし、友人家に招いて呑みたいとか思ったりする。周りみんな彼女いるしな〜この時間から誘うのは気が引ける。

ひとりで呑むのもいっか、最近ひとりで呑まないけど偶には。

身体張る仕事は疲れるし、最近はあまりなかった音楽番組以外の慣れない現場は余計に。

好きなモダンデザイナーの家具、以前からインスタで目をつけてたやつ、ついにここでポチった。
まぁ頑張ったっしょ、毎週レギュラーもやってるし。
お疲れ、自分。

自分の機嫌は自分で取る主義。

この高価なものをポチる瞬間が快感でならない。

なんて事してたら自宅に到着して、鍵がキーホルダーと絡まって少しイラっとした。うわ、疲れてんなって。今日は特に。

酒呑も、なんて言っても酔い潰れるのがこわくて、ひとりだし。ほろよいのカルピスとかで済ませちゃう。

それをフルーチェと一緒に食べるのが自分スタイルっていうか、そういうやつ。嗜み。

ネトフリでデビットフィンチャーが監督してる好きな映画流しながら、心ゆくまま呑む。ウマイ。

て言っても、それだけで満足できるもんじゃなかった。酔っても酔いきれないのには理由があって。

本能的に必要とするもの。三大欲求のひとつ。

電話番号しか知らない。急な時には、そのままメッセージなど送らずに、電話番号に電話掛ける。まぁ、大半が急なんだけど。

昼間から約束してもさ、彼女みたいじゃん。それとは違うじゃん。

って、そういうバイブスになってから誘いたいわけ。漢っぽく。

大体いつも1回目で出てくれる、そう。互いに都合が良い。容姿はパーフェクト、性格がどうであれ自分と都合が合うなら正直どうでもいい。会うのは夜だけ、なんだし。

「0:15くらいにエントランス。いい？」

『うん、分かった』

ほら、こうやって一言返事で決まる、いつも。

文字通り0:15になって、誰にも撮られていないか確認したらオートロックを解除。エレベーターは誰もいないときに必ず。合鍵を持つほどでも無いと思い、ここは俺が開ける。

玄関に入るなりそそくさと靴を脱ぐ。風呂上がりの乾いたふわふわした髪を広げて周りから顔が見えないようにしっかりキャップを被り、上下スウェット。それだけでもサマになる容姿端麗な女。

表では強そうに振る舞う、実際に強いけど。このボーダーを超えたら違う彼女。

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