大丈夫だって (ページ27)

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side:桃

病院に着く頃には樹はすやすやと眠っていた。

さっきのように魘されてはおらず、穏やかな寝顔をしている。

本当はこのまま寝かしてあげたいけど病院に着いてしまったからそうはいかない。

心の中で謝りつつ樹を優しく揺すった。

「樹、起きて。病院着いたよ。」

軽く声をかけると､樹はそっと目を開けた。

よし､寝癖も付いてないし寝起きも悪くない。

これならすぐに病院に入っても大丈夫そうだ。

「中入ろっか。」

そう声をかけるも､まだ起き抜けの樹は体に力が入らないらしく足元がおぼつかない。

見ていて危なっかしくて病院の中までは俺が支えていった。

待合室はさほど混んではおらず、受付を済ませてから程なくして診察室の中に通された。

見るからに人が良さそうな先生は診察を終えると

先「おそらく、"自立神経失調症"でしょう。」

と口にした。

やっぱりそうか。

覚悟はしていたけどいざ言われるとなんともいえない感情が胸の中を渦巻いていく。

その渦が少し小さくなってからちらっと樹の様子を窺ってみるも､あまり表情の変化は見られなかった。

樹もそれなりに感ずいてはいたのかな…？

なんて考えながら先生に質問をする。

「治すにはどうしたらいいんでしょうか？」

先「自立神経失調症には様々な原因があると考えられていますが、田中さんの場合は過度なストレスが原因と見て間違いないでしょう。なので､ストレスを減らす事が第一ですね。周りに相談しやすい環境を作ることと､生活習慣を整える事が大切です。あと念のため抗うつ剤も処方しておきますね。」

「は､はい。ありがとうございます。」

先「また何かあればお越しください。」

診察室を後にした俺たちは再び待合室のソファーに腰を下ろした。

情報量が多い…

なんとか頭の中を整理して､例のグループのトーク画面を開く。

その名も『樹、らびゅ〜♡』

ご丁寧にハートまでついてる笑

名付け親は…なんとなくわかるでしょ。

最初は「なんだこれ？」と思ったけど今の俺たちの気持ちを正確に表してるから採用。

そこに今聞いた内容を要約して送信する。

すると､一瞬で既読が4個ついて各々から「了解」などのスタンプが送られてきた。

はやっ。

ってか軽くない？

そんな画面を見てクスッと笑ってしまった。

すると､

樹「きょも？どうしたの？」

と樹が聞いてきた。

その顔はどこかすっきりしていた。