大丈夫だって (ページ24)

今日:8 hit、昨日:29 hit、合計:80,486 hit

. ページ24

side:桃

それからしばらくスマホをいじったり曲を聴いたりしていると､

樹「…ごめ､なさ…ごめん…なさい…ハァごめん…ハァハァなさ…ハァハァハァ…」

「樹？樹⁈樹っ！」

"ごめんなさい"と繰り返しながら樹が魘され始めた。

過呼吸にもなりかけていて、俺は慌てて叩き起こした。

樹「ハァハァハァ､ん…きょ､も？ハァハァ」

「そうだよ。樹、俺に合わせてね。吸ってー吐いてー吸ってー吐いてー…」

さっき北斗がやってたみたいに樹の呼吸を整わせた。

まだ夢と現実をはっきり区別できていない様子の樹は､必死に呼吸を整えながら俺のことを少し怯えたような目で見ている。

メンバー絡みの悪い夢でも見たのかな？

勝手に推測してなるべく優しく声をかける。

「どうしたの？樹。」

そのあと樹が発した言葉は"ごめんなさい"だった。

「何が『ごめんなさい』なの？」

樹「みんなが…『お前のせいでデビューが遅れた』…『お前がいなかったらもっと売れてたのに』…って…俺がいるせいで…」

「じゅ〜り､そんなことないよ。さっきみんな言ってたでしょ？『樹のおかげでSixTONESはここまで来れた』って。『樹のせい』じゃなくて『樹のおかげで』今のSixTONESがあるんだよ？」

まだ少し震えている樹の手を握る。

樹「きょもの手…あったかい。」

「んふふ、そうでしょ。樹の手冷たいもんね。」

他愛もない話をしていると少し樹の表情が和らいできた。

そこで本題を切り出す。

「樹、これから病院行かない？」

樹「病院？」

「そう。樹､最近眩暈がしたり頭が痛くなったりするって言ってたでしょ？だから一回見てもらわない？」

ほぼ自律神経失調症で確定だけど､あえてそれは樹に言わなかった。

樹「…うん。」

途端に表情が固くなってしまった樹。

だけどそれは嫌がっているようではなかった。

覚悟(？)を決めたような､そんな感じ。

きっと樹にも思うところがあるんだろうな。

「よしっ、じゃあ行こうか。」

なるべく空気が重くならないように明るく声をかけると､樹も少しふらつきながらもついてきた。

前よりも軽くなった樹を支えながら車に乗り込み､病院へ向かった。