【刀剣乱舞】青い瞳の彼は刀剣達と生きる【男主】 (ページ36)

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蒼と歌仙が本丸へ帰る日、兄のアランが見送りに来ていた。

政府の技術で、短時間で転送され本丸へ戻ることが出来るのだ。

「次は本丸へ是非来て下さい」

「ああ、近いうちに必ずな」

アランは慣れない様子で蒼の頭を撫でる。

政府の役人に連れられて、蒼は歌仙とゲートを通る。

一瞬にして本丸の門の前に居た。

「みんなは元気にしてるかな？」

本丸へ入ると、いつもと違う雰囲気が漂っていた。

蒼は歌仙と顔を見合わせる。

「静か、だね…」

空気の入れ換えの為か襖は全て開けられている。

廊下を進み、広間へ差し掛かったとき…

「珍しいこともあるんだね」

蒼はクスクスと笑う。

「だからこんなに静かだったんだね」

広間では多くの刀剣が眠っていたのだ。

粟田口の短刀達は一期の周りで眠り、
小夜は宗三と眠り、
光忠や長谷部、山姥切でさえ眠っていた。

「お、大将と歌仙帰って来たのか」

「ただいま薬研」

本を読みながら廊下を歩いて来た薬研。

「おかえり、驚いただろ？」

「そうだね。起きているのは君だけ？」

蒼は広間へ入り、端っこに座る。

「ああ。皆大将が居なくて寂し過ぎて鶴丸の旦那から昼間にだんだんと集まりだしてな」

「皆が休めるように仕事はあまり残して行かなかったんだ。休めて良かったよ」

「主も旅の疲れはないかい？」

「ああ、自分の国へ行っただけだから、疲れていないよ」

皆を起こすまいと静かに過ごしていた蒼だったが、陽が沈む頃…

「あ、長谷部……おはよう」

「あ…るじ…、？」

ぽかんとした表情で体を起こす長谷部と目が合う。

「え、あ……おかえりなさいませ主！お出迎えできなくて申し訳ありませんっ！」

長谷部は即座に正座で姿勢を正し、蒼に一礼する。

「ただいま長谷部」

蒼はにこりと笑う。

「薬研っ、主が帰ってこられたら起こしてくれと頼んだだろう！」

「悪いな。俺も本を読むのに夢中で忘れてた」

薬研は笑う。

その後、ぞろぞろと皆が起き出して行く。

「主っ！！」

「どうして起こしてくれないの！？」

「主様っ…おかえりなさい！」

広間の隣にある厨房に、皆駆け込んで行く。

「みんな…ただいまっ」

蒼は歌仙、長谷部と夕食の準備をしていた。

蒼のいつもと変わらない笑顔に皆は安心した。