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ーーー10年前
英国のある貴族の家に一人の少年がやって来た。
とても綺麗な青い目をした金髪のまだ幼い少年だ。
服装はとても粗末なもので、この家のお屋敷には似つかわしくない。
少年は使用人に連れられて、自分よりも5歳年上の少年と対峙していた。
「さあ、この方が兄君のアラン様です」
「アランにい様…よろしくおねがいします」
幼い少年は緊張した様子で目の前の少年を見つめる。
「お前の事なら聞いてる…」
少年は無表情に弟を見る。
「僕…にい様に会えてとてもうれしいです」
ふわりと笑う姿に少年は目を背ける。
少年はすぐにその場を去る。
残された少年の悲しげな表情など見ずに…。
「(あれが……弟、今日から兄弟か)」
少年は少し頰を緩ませたのだった。
しかし、元々素直になれない少年は弟に対してとても冷たい態度を取っていた。
仲良くなりたい、笑顔を見たいと内心では思っていた…体が弱く寝込んでいる弟の部屋へ足を運ぼうとしたが、途中で引き返す毎日だった。
まともに顔を合わせるのは食事の時くらいで、そんな日々が過ぎ二人の間に溝が出来てしまった。
おまけに自分とは正反対の弟に、劣等感も抱いていた。
頭の良い弟は言われた事はすぐに覚え、使用人にも分け隔てなく接する為周りから好かれていた。
欠点と言えば体の弱い事くらいで、少年は周りに期待される弟に余計に冷たく接してしまう。
それでも弟は変わらず笑顔で話しかけてくる。
「兄様、あの共に街へ出かけませんか?」
「断る…外で倒れられては迷惑だ」
少年はそう言い、弟を拒絶した。
「(まったく…自分が嫌になる。社交界でならお世辞の一つや二つ言えるのに)」
弟が療養の為、日本へ発った後も少年は悶々としていた。
弟の病状が悪いと聞かされた時も、向かおうとしたがその時に限って大切な仕事が入ったのだ。
しかしすぐに病状が良くなったと手紙が届き、おまけに日本に残ると言いだした。
「貴方は…寂しかったんだろう?」
不意に目の前の刀剣に言われ、男…アランは蒼を見る。
「今さら、かもしれない…」
アランは悲しそうに言う。
「兄様…?」
蒼は心配そうに兄を見る。
「お前は悪くない…悪いのは私だ。一言言わせてくれ…信じてくれないかもしれないが、お前を大切に思っていた」
アランは真っ直ぐに蒼を見つめる。
蒼は驚きで、どうすれば良いか分からず、歌仙を見る。
歌仙はただ微笑むだけだ。
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那智(プロフ) - どうぞ!あ、タメで良いですよ!!! (2017年5月9日 0時) (レス) id: 3cf1030c36 (このIDを非表示/違反報告)
結桜(プロフ) - クロツル(那智)さん» あとTwitterもフォローさせてもらっても良いですか?>_< (2017年5月5日 1時) (レス) id: 46e50081e8 (このIDを非表示/違反報告)
クロツル(那智)(プロフ) - どうぞ!嬉しいです! (2017年5月4日 19時) (レス) id: 3cf1030c36 (このIDを非表示/違反報告)
結桜(プロフ) - クロツル(那智)さん» ありがとうございます!拝見させてもらいました。すごく嬉しいので、小説の方に載せてもよろしいですか? (2017年5月4日 12時) (レス) id: 46e50081e8 (このIDを非表示/違反報告)
クロツル(那智)(プロフ) - 描きましたので、ご報告に上がりました。Twitterの@kuroturu2113で出てくると思います。 (2017年5月3日 13時) (レス) id: 3cf1030c36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結桜 | 作成日時:2017年2月26日 1時