【刀剣乱舞】青い瞳の彼は刀剣達と生きる【男主】 (ページ30)

今日:8 hit、昨日:14 hit、合計:131,652 hit

26 ページ30

洋風の建物が建ち並ぶ通りを二人の男が歩く。

蒼と歌仙だ。

蒼は懐かしい空気に頬を緩ませると、隣を歩く歌仙を見る。

「洋装もよく似合ってるね」

「そうかい？郷に入っては郷に従えと言うからね。それに普段の装いでは目立つからね」

歌仙は黒のスーツを着ていて、蒼は白のシャツにネクタイを締めキャメルのトレンチコートを羽織っていた。

「この国は日本よりも涼しいな。過ごしやすそうだね」

二人は蒼の故郷であるイギリスの地へとやって来た。

蒼の帰省を名目に政府に願い出ると、政府の技術でゲートを通り直ぐにこの国へ来ることが出来た。

「皆を宥めるのが大変だったね、お土産を買っていかないと」

「特に鶴丸だよ。三日も君と離れるのが耐えられないって泣きついていたじゃないか…」

歌仙は溜息を吐く。

「どうして歌仙はここへ来たかったの？」

歩きながら蒼が歌仙に聞く。

「それは……」

歌仙が言いにくそうに口籠る。

「主の生まれ育った国を見てみたかったんだよ…」

照れた様に言う歌仙に、蒼は目を丸くする。

「その顔…やめてくれ」

歌仙は蒼を睨みながらも、顔を真っ赤にしていた。

その後二人は街を歩き、田舎の方へやって来た。

「綺麗な建物ばかりだね…ここは？」

「僕が生まれ育った所だよ。幼い頃に母と二人で暮らしてた」

蒼は懐かしむ様に辺りを見渡す。

「Hey, why are you here?」

一人の男が蒼の肩を掴む。

歌仙は咄嗟に身構えるが、蒼に焦った様子は無い。

「It's after a long time, how are you?」

蒼は微笑み男を見る。

「Did you return finally?」

男は鼻で笑う。

「No…」

蒼は首を横に振る。

すると男は蒼を睨み、腕を掴む。

「っ……」

蒼が表情を歪めた瞬間、歌仙が男から蒼を引き離した。

「英国紳士はとても雅だと思っていたんだけどね…！」

歌仙の言葉に男が歌仙を見る。

「君は…なるほど、刀剣と言うものか」

男は歌仙に合わせて日本語で話し出した。

「兄様…日本語を話せたんですね」

「当たり前だろう」

「貴方が主のお兄さんかい？」

歌仙は怪しげに男を見る。

「そうだ。名は名乗らない方が良いらしいな…だが、言わせてもらおう。弟を返してもらいたい」

「兄様っ…それは出来ないと言いましたよね」

「うるさい。父上が怒っているんだ…使用人から街でお前を見たと聞いて急いで探したんだぞ？」

男は冷たい目で蒼を見る。