【刀剣乱舞】青い瞳の彼は刀剣達と生きる【男主】 (ページ27)

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彼がまだ入院中だった頃…

毎日、検査をしても良くなる事はない病状に彼は疲れを感じていた。

夜になると、個室で一人の彼は酷く寂しさを感じていた。

身体も弱り、ほとんど外へ出る事は無く、好きな日本の地に居る事も実感出来ずにいた。

来日した際に購入した日本の書物も全て読み終わり、何度もそれを読み返す日々…

最近では本を読む元気さえない。

「(さにわ、の仕事引き受けなくて良かったな…普通の生活も出来なくなったのに、神様の為に働くのは無理だよね)」

彼は出来ることなら母国で家族の元で眠りにつきたかった…しかし、それも叶わない。

日本へ来て家族がお見舞いに来てくれた事は一度もなかったからだ。

「(望まれていないのなら…仕方ないからね)」

彼は重い身体を起こし、力を込めてベッドから出降りた。

数歩進み、窓を開ける。

サァー…と春の夜風が涼しい

「…わっ、驚いたかい？」

真っ白な神様が飛び込んで来たことに、彼は声にならない程驚く。

「つる…」

少し前に出会った鶴丸国永と言う刀の付喪神だ。
彼は驚いてふらつくが、それを鶴丸が受け止める。

「君に贈り物だ」

鶴丸は着ていた上着のフード部分から、何かを取り出した。

「これ…さくら？」

彼は勉強したばかりの慣れない言葉を口に出す。

「君が見たいと言っていたからな？政府の庭の桜の木から少しばかり拝借してきたぞ」

鶴丸は桜の花を彼のベッドの上に置く。

「まあ、これは余興だ」

「よきょう…？」

彼は首を傾げる。

「俺はな、君を迎えに来たんだ…君がもう苦しまなくても良いように」

鶴丸は彼の手を握る。

「共に俺の神域へ行こう。桜をいくらでも見せてやろう」

「それは、してはだめなことだって…せいふのかたにきいた」

彼は落ち着きながら言う。

「そんな事を言ってる場合じゃないだろう…！？君には生きていてほしいんだ！」

「つる…しずかにね。それにそんなことをしては、つるがせいふにとうかいさせられる」

「君の為ならどこまでも逃げるさ…」

鶴丸は泣きそうな顔で言う。

無理にでも、彼を隠すことだってできる…

嫌われるのは嫌だ、けど生きてくれ

そんな思いでいっぱいの鶴丸に、彼は口を開いた。

「もしげんきになれたら、さにわもしてみたかったな…」

彼は鶴丸自身に触れた。

日本刀、と言うのを実際に見たのは鶴丸が初めてだ。