23 ページ25
午前中は高かった蒼の熱も、午後の陽が落ちる頃には下がっていた。
「薬研、世話をかけたね」
「どうって事ない。まだ無理は駄目だぞ」
薬研は笑顔で言う。
「主、食事は食べられそうかい?」
光忠が襖越しに声をかける。
「えっ、ちょ、鶴さん?何してるの?」
「薬研、もう入っても良いかい?」
慌てた光忠の声と、楽しそうな鶴丸の声。
「大将、良いか?」
「うん。ずっと眠っていたからね、つまらなくて」
「入るぞ!」
鶴丸が襖を開けて、サッと入って来る。
短刀達と清光もぞろぞろと入って来る。
その手には皆で白い袋を持っている。
「こんなに大人数でどうしたの?」
光忠も不思議そうに入って来る。
「僕達、主さんの為に頑張ったんだよ?」
乱がにこにことして言う。
「だから蒼、思う存分驚いて楽しんでくれ…!いくぞ…!せーのっ…!!」
鶴丸の掛け声で、短刀達と清光は袋を広げた。
ふわり……
と、薄桃色の花弁が舞う。
視界いっぱいにその色が広がる。
「わあ……」
蒼は思わず声を上げる。
子どもの様に目を輝かせ、頰を染める。
「美しいだろう…?皆で桜の木から落ちてくる花弁を受け止めたのさ」
「主っ…元気になりました…?」
五虎退が恥ずかしそうに言う。
「ああ、とても元気になったよ。ありがとう」
蒼は笑って五虎退の頭を撫でる。
「主の気分が良いなら、川辺の方で夕餉にするかい?」
「そうだね。夜桜なんて素敵だ」
「やった!主と花見ができるのか!皆に知らせてくるよ」
清光は嬉しそうに駆け出して行く。
「一兄にも知らせて来ます!」
粟田口の短刀や、今剣も準備に向かった。
「それじゃあ僕も支度をしてこようかな?」
光忠は腕まくりをしながら出て行く。
「鶴…ありがとう」
蒼は立ち上がり鶴丸の頭を撫でる。
「何だ…君は。これ以上好きにさせてどうするんだ?」
「鶴の愛情は重いからね?それは少し困るなあ…」
蒼は苦笑いで言う。
「君を困らせるのは俺だけだぞ?ちゃんと受け止めてくれないとな」
鶴丸は自分の頭にある蒼の手を掴むと、自分の頰に当てた。
愛おしそうに蒼を見つめる鶴丸に、まだ部屋に居た薬研が声をかける。
「お二人さん、俺が見ている前でイチャイチャしてくれるなよ」
薬研がじとりと二人に視線を向ける。
「まったくだ…鶴丸国永。病み上がりの人間に手を出すとは、万死に値する」
にこりと笑った歌仙が現れた時、さすがの鶴丸も表情を崩したと言う。
214人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
那智(プロフ) - どうぞ!あ、タメで良いですよ!!! (2017年5月9日 0時) (レス) id: 3cf1030c36 (このIDを非表示/違反報告)
結桜(プロフ) - クロツル(那智)さん» あとTwitterもフォローさせてもらっても良いですか?>_< (2017年5月5日 1時) (レス) id: 46e50081e8 (このIDを非表示/違反報告)
クロツル(那智)(プロフ) - どうぞ!嬉しいです! (2017年5月4日 19時) (レス) id: 3cf1030c36 (このIDを非表示/違反報告)
結桜(プロフ) - クロツル(那智)さん» ありがとうございます!拝見させてもらいました。すごく嬉しいので、小説の方に載せてもよろしいですか? (2017年5月4日 12時) (レス) id: 46e50081e8 (このIDを非表示/違反報告)
クロツル(那智)(プロフ) - 描きましたので、ご報告に上がりました。Twitterの@kuroturu2113で出てくると思います。 (2017年5月3日 13時) (レス) id: 3cf1030c36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:結桜 | 作成日時:2017年2月26日 1時