【刀剣乱舞】青い瞳の彼は刀剣達と生きる【男主】 (ページ20)

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始まるとすぐにかかって来るかと思いきや、相手側の刀剣達は刀も抜かない。

「どうしたんだい？」

見かねた歌仙が隊長らしい蜂須賀虎徹に尋ねる。

「この演練が終わったら、そちらの審神者に謝らせてもらいたいんだ」

神妙な面持ちで言う。

幸い戦闘中見学者は遠くからモニターで見守る為、普通の声では周りに聞こえない。

「うちの主はお馬鹿でね。すぐ周りが見えなくなってしまうから」

蜂須賀は苦笑いを浮かべる。

「蜂須賀殿…貴方に責任はありません。我らが主はお優しい方、貴方に謝罪を頂いても困るでしょう」

一期が淡々と話す。

「何故、あんたらのとこの審神者は怒ってるんだ？」

薬研が相手側の刀を見回す。

すると、大太刀である太郎太刀が前へ出た。

「主は先程の女性と恋仲なのです…」

「それはどうでしょう…？」

小狐丸が目を細めながら言う。
少し機嫌が悪そうだ。

「あの女子は主様を好いてはおらぬ…利用しておるだけ」

「どういう事だい？あの少女は君達の審神者に付きまとわれて居ると言っていたよ」

歌仙がほんの数分前の出来事を思い出す。

「そんな事をっ、よくも言えたな！」

蜂須賀は悔しそうに拳を握る。

「どうやら一番の原因はあの女子か？女子に手をあげる趣味は無いが、蒼と馴れ馴れしくしたのは許せないな」

鶴丸がにこりと笑う。

「同感ですな、鶴丸殿」

「とりあえずこの怒りをぶつける為に、正々堂々演練しようかな？」

一期や光忠は刀に手をかけた。

「ああ！本気で行こう！」

相手側も真剣な目つきに変わった。

相手側の刀達が後に語った話では、この時の鶴丸達の殺気は物凄いものだったと言う。

まあ、しかし…レベルの差や大太刀が居る部隊に気合いだけで勝てる程甘くは無く、敗北した。

傷を負って出て来た皆に蒼は心配そうに駆け寄る。

「お疲れ様。大丈夫かい…？」

優しい声でそう言う蒼に、皆はさっきまでの張り詰めた雰囲気を解き笑顔になる。

「本丸の皆に良い報告は出来ないね」

歌仙は笑ってそう言う。

「皆、格好良かったよ」

「本当かい！？主にそう言ってもらえるのは嬉しいね！」

光忠は嬉しそうに笑う。

「光忠はいつも格好良いけどね」

蒼は小さく笑う。

「よしよし、蒼。それ以上光坊を誑し込むんじゃないぞ？」

鶴丸は蒼の頭を撫でながら止める。