【刀剣乱舞】君の命を繋ぐもの【男主】 (ページ24)

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「これで良し」

石切丸はすっきりした表情で春親を見る。

「若…外の世界では、その感情を表に出せない状況が多々あるのかもしれない。大人になるにつれてそれは増えていくね…」

石切丸は春親に目線を合わせる様に腰を折る。

「だけど私達の前ではそれを憚る事は無いんだよ、外で君は大人になっていくけれど…主やここの刀剣にとって君はいつまでも大切な子なのだから」

春親の箒を片手で受け取ると、春親をもう片方の手で抱え上げた。

「ちょっ…石切丸っ…」

石切丸はにこにこ笑顔で箒を片付けると、その状態のまま室内に上がった。

すると起きたての燭台切に会う。

髪が跳ねていて、まだ身なりを整える前なのだろう。

「(光忠のこんな姿を見るのは…久しぶりだな)」

戸惑っていた事も忘れ、燭台切を見つめる。

「ああっ！良かった…起きてみるとハル君が居ないから、慌てて探しに行こうとしてたんだっ」

「共に庭掃除をしてくれていたんだ」

石切丸は答える。

「石切丸…下ろして」

春親はすんとした表情だ。

「良いなあ、石切丸さん…」

「良くないからっ…」

春親は表情を変えずに燭台切を見る。

「(どうして皆直ぐに抱き上げるんだ…もう小さく無いのに)」

「僕も久しぶりに…良いかな？」

嬉々とした表情の燭台切。

「光忠……着替えないの？」

燭台切が春親の事をよく知っている様に、春親も燭台切の事をよく知っている。

「え……？って！わっ、どうしよう！ハル君の前でこんな格好良くない姿見せてっ…」

燭台切は春親に寝起きの身なりを整えていない姿を見られるのが何より嫌だった。

燭台切曰く「ハル君の前ではいつでも完璧な姿で格好良く決めたいよね！」との事だ。

宛ら彼氏にスッピンを見られたくない彼女の様なのだ。

「ちょっと整えてくるから…！ご飯は待ってね！」

燭台切は素早くその場を離れて行った。

石切丸は春親を下ろす。

「皆、過保護だからね。特にご両親の事は主が一番気にしている事だろうから…相談してみると良い」

「ありがとう、石切丸」

春親はほっと息を吐いたのだが…。

「ハルっ…！ここに居たのか！心配したぞっ」

又もや誰かの手に抱き上げられる。

「もうっ…鶴さんまで…」

「何だい？俺は起きて隣を見ると君が居ないからなあ…」

軽々と抱き上げるその腕のどこにそんな力があるのか…春親は常々疑問に思っていた。