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本丸へ着いたのはそれ程遅い時間では無いが、平日の春親ならいつも眠っている時間だった。
叔父と別れ、自室へ向かう。
山姥切が春親を引きとめようとしたが、春親はそれに気づかなかった。
風呂の準備をして風呂場へ向かうと、風呂上がりの燭台切と大倶利伽羅が居た。
「ハル君！帰って来てたんだね」
春親を見てパアッと笑顔になる燭台切。
春親はぼんやりしていて、一拍遅れてそちらに目を向けた。
「うん」
「今日もこっちで寝るか？」
珍しく大倶利伽羅が誘う。
「うん…」
「急がなくて良いから、ゆっくり湯船に浸かっておいでよ」
燭台切は優しく微笑むと、春親の頭をぽんと撫でた。
沈んでいた気分も少し楽になり、風呂へと行った。
「ハル、おかえりー」
「遅かったね」
加州と大和守が湯船に浸かっていた。
「ただいま」
座ってシャワーを浴び洗い終えると、二振の傍に浸かる。
共に風呂を出ると、春親の髪を加州が乾かす。
放っておくと、こういった事に無頓着な春親を気に掛けている刀剣は多く居るが、加州は特にだった。
その為春親の髪は傷む事無くサラサラだ。
「髪少し伸びたんじゃない？」
ブラシで整えている加州が言う。
「そうかな。今度切ってもらうね」
「ちょっと！適当な奴に頼んじゃ駄目だからね？」
加州が慌てて言う。
「清光ー、心配なら切ってやりなよ」
大和守が呆れた様子で言う。
春親の髪は燭台切や歌仙、加州などの手先の器用な者が整えているが、春親はそんな事も気にせずに偶々傍に居た者に頼む。
薬研に頼んだ時は、春親と薬研の無頓着な性格が災いして一歩遅ければ大変な見た目になって居た。
それを止めたのが、加州だったのだが…。
「時間が空いたら切ってあげるから、また言ってよね」
加州がそう言うと、春親は頷いた。
その後直ぐに、伊達の部屋へ向かおうとする。
しかし調理場の前を通ろうとした時、呼び止められた。
「ハル君、主から聞いたよ。ご飯食べてないよね？」
おにぎりと温め直して湯気の立っている味噌汁を調理場の机に置いて居た。
「君はお腹空いたままだと眠れないだろう？」
笑って言う燭台切。
春親は燭台切に駆け寄り上を向いた。
「光忠…ありがとう」
春親がそう言うと同時に、グーっとお腹が鳴る。
お互いに顔を見合わせると笑ったのだった。
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作者名：結桜 | 作成日時：2018年1月26日 22時
