第19話:機嫌取り ページ27
「そういや、おまえは何で総司から逃げてたんだ?」
その言葉にAが醸し出す空気が真っ黒に変わる。
何事かと三人が驚いていると、物凄く小さな声で何かを呟いたのだが、三人には何を言ったのか全く聞き取れない。
土方がもう一度聞き直すと、またより一層空気が黒く染まった。
「沖田さんに首筋を舐められました…」
「「「はぁ?!」」」
まるで合掌だと思うほどに揃った声を発せられた。そして、次の言葉に三人はぎょっとする。
「沖田さんは、私の敵認定したくなりましたよ…」
「て、敵って…。あいつも悪ふざけしすぎだよな…」
「"悪ふざけ"で済むなら"セクハラ"なんて言葉は生まれませんよ…」
真っ黒い空気を醸し出しすぎているからなのか、またAは自分の時代の言葉を使ってしまう。
「その"せくはら"って何だ?」
「セクシャルハラスメントの略です。意味は、相手の意に反する性的言動によって相手を不快にさせる事です。沖田さんのあの言動は私には不快でしかありません。何ですか?!【美味しそうだった】って!!私は食べ物ではありませんよ!」
ここまで起こるAを初めて見た三人は、とにかく宥めようと必死に言葉を探しす。
「ま、まぁ、そんなに怒ると可愛い顔も台無しだぞ?」
「可愛くないから別にいいです」
永倉撃沈。
「何があってそうなったは知らないが、総司の悪戯だ。気にすんな」
「では、土方さんも意地悪ならそうゆう事をするんですね」
土方を蔑んだ目で見やる。
土方はそのような事をしない人だと分かってはいるが、今は売り言葉に買い言葉だ。
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作者名:辻村 桜花 | 作成日時:2019年8月23日 9時