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「オカンがね、たつくんと食べなさい言うて持って来たん。」

そう言うて僕は保冷バックに入っているものを取り出し、たつくんに渡した。

「美味しそう。」

「マジに美味いねん。オカンのお手製。」

「いいの？」

「ええねん、オカンが二人でって言うたんやから。」

人のいないその場所で僕ら二人はオカンのクレープを食べる。

「美味しい。」

たつくんのその言葉に僕は心の中でガッツポーズ。マジに美味いもん、オカンのクレープ。

「お母さんが作るって凄いね。」

「そうなんかな。僕の家はご飯食べるところをしていて、ちょっと余った果物がいつも入っている
ん。今日はバナナ言うてた。」

「りゅうちゃんのお父さんが作っているん？」

「そう、料理しているねん。」

「かっこいい。」

「僕も思う。オトンの背中がむっちゃかっこいいって思うねん。」

「仕事している姿が見るのっていいよね。僕のオトンは全く分からへん。」

「自分の家で仕事しているから。他所だと絶対見れへん。でも……僕が病気してきっと大変やと思う……色々。」

ポツリとそう言うと、たつくんはモグモグしながら言うたん。

「でも、お見舞い来ているなら早く良くなりますようにって思うてると思うよ。りゅうちゃんのお母さん毎日来ているやん、お父さんも合間に来ているんでしょ？」

コクンと頷くと、たつくんは全て食べ終えて両手を合わせてごちそうさま言うてから言うたん。

「大変でも、りゅうちゃんが大事。」

まるで大人びた返しに僕は恥ずかしくて笑ってしまう。

「大人や。」

「だって、僕のオカンのお見舞いもそうだから。オカンの方のじぃちゃんもばぁちゃんも遠くから来て少しでもって願っているもん。」

「そうだよね。」

「りゅうちゃんのおやつはこんな幸せなのか。ええねぇ、毎日美味しいおやつ食べれて。」

たつくんに言われてオカンの凄さを感じた。

オカンにその事を言うとかなり嬉しかったみたいで、たまにクレープを作ってきてくれて二人で仲良く食べた。

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