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ただ……僕は……そんな世界からほど遠い所で生きている。

煙草を吸いゆっくりと視線を向ける。店員が動いている先の方で流れているテレビの映像はちょうどタイミングよく流れている海外野球。

「大変な世界や。」

「そうやな……せっかくだからマルも社員にならへんか？」

「突然すぎるから！」

「誘われているうちが花だぞ。」

「嫌ですって。」

苦笑いして言うしか出来へん。

「僕はバイトでいいんです。」

「なんで？マルのスキルならうちの社員ええと思うけど。」

「それは横山さんが楽になるからでしょ。」

「ばれたか。」

「バレますって。」

なんて笑って言い灰皿に灰を落としてから視線を野球に向ける。

そう言えば、たつくんはなんで裏方しておるんだろ？

ヤスもそこには触れてなかったよな。

疑問。

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「なんで裏方？」

その疑問に彼はそんな返事を返して来たのは午前1時。

横山さんと別れて帰宅したのは午前０時。

すぐに風呂に入る気なくてスマホを弄っていたらたつくんも帰宅、酔った勢いでそんな質問を投げかけると帰りに買って来たものを冷蔵庫に入れてから答えたん。

「美容師していた。」

「び、美容師？」

「そう、過去形なんやけど。カバンの中に道具も入っているで？店でお姉さま方のカットもしておる
し、カツラの手入れもしておる。」

尊敬のまなざし。

美容師って大変やってバイトしている後輩ちゃんから聞いたことある。

でもなんで裏方？

疑問顔をしていたんだろうな……たつくんは右手を動かして言うたん。

「過去形なのは、怪我のせい。」

「怪我？」

「薄っすら見えへん？ここに傷あるの。」

たつくんの手をまじまじと見たのはこれが初めてかもしれへん。白くきれいな指、手の平、手の甲、全てが綺麗やって思う中で薄っすらと中指から手の甲に傷があるのを見つける。

「……これ？」

僕の言葉にたつくんはゆっくり息を吐き出してから口にする。

「元カノにされたん。」

「ひゃぁえ？」

流石にびっくりして変な声で返事を返すとたつくんは思いっきり笑ってから言うねん。

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