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「いらっしゃいませぇ。」

声は女子より少しハスキーが混じっている感じで……そっち系のお店だと言うのは重々分かる。

「あら、ヤス～。」

完全なる常連さんだと思われるパイセン安田さんは慣れたように声のかかるほうにお手振りをしながら奥にズカズカと歩いて行く。必死について行くと機嫌悪いオーラを漂わせている人が首を回すようにしてこちらを見た。

眉間に皺寄せ

「あぁぁぁぁん？？」

なんて言葉言われるとビビる、怖い。

最高の恐怖。

「こんばんは。今日もママが美人さんでびっくりした。」

ヤスの微笑で言う言葉に僕は震えながら見ていると視線が急に変わって、そりゃ満面で言うねん。

「やだぁ、ヤスちゃんじゃない。」

さっきまでの低い声での威嚇からかわいらしい声ってどんなマジックよ？

「アイツは？」

「裏で新入りちゃんの髪の毛をしている。」

「そうなん？ここで待っていてもええ？」

「いいわよ。あら、そちらは？」

「僕の後輩。あ、相手はすでにいるからお触り禁止だから。」

「あらぁ、残念。」

この会話の流れに僕は付いていけなくて引きつった笑みを向けるしかなかったんですけどね。ママが「どうぞ」言うて真向かいの席に座らせてもらうと、ヤスはスマホを操作しながら言う。

「ヤスちゃんの後輩って踊り子さん？」

「ちゃうって。流石に踊り子仲間をここに連れてきたら非常に危険。」

「あ、バレちゃダメなんだもんね。」

「そうやで、夢を売る仕事でそこはアカンでしょ。」

会話のクセが強いんやけど。踊り子さん……そこはそう言わんと大変な問題やもんな。

「僕の後輩で出来のいいタイプ。」

「そうなのねぇ。」

褒め殺しですか？？なんて挙動不審になりそうな顔になりつつ視線をヤスに向けるとにんまり笑って煙草を吸い始める。何か企んでいます？

そんな不安になりかけたんやけど。

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