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横山さんがスマホを急に取り出して画面を睨めっこする。

「どないしたんです？」

モグモグ状態で僕が質問すると横山さんはビールを飲んでからボソッと一言。

「安田覚えているか？」

数秒考える。
辞めていいた人の顔をどんどん出していくけど、これ!と言う人が出てこない。

「安田さん？」

「ちっさい、ロン毛、スカート。」

「あぁ!!!」

言うても小さくないけどな、スカート履いてくると小さく見える謎。おまけにそれでポニーテールしてキラキラシュシュしてむっちゃ乙女な人やった

……男だけどな。

「今近くにいるんやって。」

「ほぉ。」

「呼ぶか？」

「本日もスカートなんかな。」

「どうやろな。安田のスカートは見慣れて違和感ない。」

２足わらじが難しいので言うてサクッと辞めたのは半年前。
1足はこの仕事

もう1足が全く分からなくて何しているんだろう状態やったけど今日聞けるのか。

「なら、返事しとく。」

ポチポチ操作しながら横山さんは返事を入れていく。

「でも、マメだよね横山さん。」

そんな事を僕が言うと横山さんはスマホをポケットに入れ肩肘ついてホッケを食べる事を継続。

「好きなんよこの仕事。」

「え？事故処理受付ダイヤルが？」

「事故処理は好きではない。」

「この仕事とは？」

思わずそんな質問をすると横山さんはてホッケ完食してから言う。

「保険の仕事。」

「え……マジで？」

「いや、電話業務は嫌いやで？でも、この仕事で役に立っている部分はあるやん。」

「それはあるかもしれない。」

「色々ドロドロまで見えるで？修羅場とかもあるで？不幸な案件もあるで？でも、客から『助かった』とか『ありがとう』言われたらちょっとだけ嬉しいやん。」

「横山さんに早く幸せ来ますように。」

「……マル、ほんまにシバくで？」

「いやーん。」

アホな会話をしている時やった。

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