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病棟の廊下は僕にとって楽しい世界
入院してくる人
退院していく人
お見舞いに来た人
お見舞いから帰る人
色んな姿が見える

「……そんなんで、オカン。来週に使うらしいから明日持って来てな。」

なんて僕が言うとオカンは携帯取り出してメモしてるねん。それ位覚えておいてくれへん？

「辞書ね、わかった。」

なんて言うけど、絶対忘れそうなんやけど。

ハンドルリムを慣れた手つきで扱う自分もなかなかやなって思いながら1階ロビーまでついて行く。ほ
んまはエレベーターの部分まで言われておるんやけど、お菓子を買ってもらいたくて一緒に下りたん。病院の少し隅にあるコンビニまで行き、オカンに買ってきてもらいたいモノをお願いして僕は廊
下で待っていた時やった。

裏手にあるコンビニ

左右に入り口があって片方は駐車場

片方は庭園と言う珍しい造りで車輪を動かして庭園の方に視線を向けた。

冬のめちゃ寒い時期

いまにも雪が降りそうなそんな空の下

ベンチに座って俯いている子を見つけ……眉間にしわを寄せてしまう。

むっちゃ寒いのになんで？

大丈夫なん？

なんて余計なお世話を向けちゃうくらい外の気温表示は氷点下マーク。

「りゅうちゃんの希望のお菓子買えた……あら、寒いのにあの子大丈夫なのかな？」

僕が見ているのに気づきオカンもそんな言葉を言う。

「だよね、風邪ひくよね？」

なんて僕が言うとオカンは買ってきた袋を僕の膝上に置いてそそくさと庭園側の出口から出てその子に声をかけに行く。何を話しているかは分からへん。
でも、その子は僕の方を見て驚いて頭を何度も下げてかれ手の甲で鼻を擦ってから何かを言うて走って行った。

「どうやった？」

そんな質問を投げかけるとオカンは笑って言うねん。

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