百五十二 ページ2
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禁裏(御所)の一角にはミコの屋敷が点在している。もちろん、ミカド奥方の屋敷もあるが禁裏外にも存在しているからかミコの屋敷の方が多くあるのが持ち出し禁止の地図にはっきりと書かれてある。
「ミコ様の屋敷だけで五つもあるんです？」
「序の口やで？前ミカドのミコの屋敷は九つあったんやから。」
「ではその前の屋敷はどうなったんです？」
「この空白地帯やな。未だに
「住まれている方もいるけど、基本は出て行く。」
「追い出される感じですか？」
「役職拝命して出て行くねん。」
長きにミカドとして在位していればそう問題ないが短期で入れ替わるようだったらそこに住まわれているミコ様方は大変だ……と、忠義は思ってしまう。
「りょうさんの屋敷は？」
「俺はここや。」
指が置かれたその場所は禁裏でも少し離れた場所だが大きさはしっかりある場所で三番目に大きい屋敷とはっきり分かる。その近くにあるのは寺や池と言う配置で静かな空間だと言うのも目で見えてわかる。
「隆平の何かを感じるのはいつも禁裏の近くやねん。」
「なにか？」
忠義の言葉に侯隆は付け加えるように伝える。
「気配とでも言うか……それはりょうしか分からないモノなんやけど隆平の存在を感じるらしい。」
その言葉を聞いて旅の時間に聞かされた言葉を思い出す。
――――隆平が俺を作った
つまり主である彼の気配を感じると言う事なのだろうと。
「禁裏の近くと言う事はこの中で感じるんですか？」
りょうは素直に頷いてから指で三つの屋敷を叩いて言う。
「この二つは兄の屋敷、もう一つはミカドの屋敷と儀式や行事を行う屋敷。兄の屋敷の中には入ったことはないから分からんねん。ただ……時折やけど隆平の何かを感じるん。」
ちょうど中心のあたりで感じることを言うと二人は何も言えず黙ってしまう。禁裏は京であって京ではない、そんな区域で厳かに伝統を紡ぐためだけに存在している区域。江戸の管轄でも、儀式や行儀の事をとやかく言う事をせず、粛々と時間を経過させていく。ただ、江戸の人間が知らない醜い部分がその裏で起きていることなどは知らない。
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続く
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2023年2月22日 16時
