252 ページ2
.
「マルは正義感が強かったん。そのせいで……色々あった。」
何かしらあった。そんなニュアンスの言い方で俺はタブレットを見ながら言う。
「その持っている花はカフェクレマ言うねん。」
「カフェ？確かに茶色やな。」
「マルちゃんの色々は大変やっただろうな。」
なんて言いながら冷蔵庫から次の薔薇の花を取り出す。
「僕はいたって平和な中で生きているなってたまに思うん。」
ヤスはそんな事を言うて花の香を確認して少し照れて言う。
「仕事で心のダメージ食らって南の島でリフレッシュして気持ち切り替えたけど、マルは子供の時のあの件でそんな事は出来へんかったから、きっと……いや、相当大変やったと思う。」
敢えて返事をせず話を聞くスタイルに変えた時やった。
「ゆうちんもそうや。」
急に出た名前に眉間に皺を寄せてしまう。
「横山くん？」
「そう、ゆうちんも大変だったんよ。なんて言うかな、あの２人はほんまにいろんなことがあった2人。」
そんな事を言うてから花をバケツに入れてから俺に言う言葉は予想もしていなかった言葉やった。
ヤスは言葉を選んで言うけど、それは結構大きな爆弾みたいなもで顔が引きつってしまう。
「ありえへん。」
思わず出た言葉にヤスは小さく頷く。
「重なるもんなんかなって……大倉も経験したって言うのが。」
変なめぐり合わせとしか思えへん。
神様の気まぐれで3人揃えて見ました。って、言うてる気がして仕方がない。
バケツに移し替えた薔薇を奥の冷蔵庫に入れ終えるとヤスは冷蔵庫を見て微笑んでいる。
.
秘密を持たない人なんているわけない。
無数の秘密を抱え込み見つからないようにひっそりと
いつかその秘密の存在すら忘れようと必死に隠して生きていく
俺もその1人
無数の秘密を抱えて生きている１人
何年過ぎようが
無数の時間が経過しようが
消える事なんてない
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瀬奈(プロフ) - ミムラ様 コメントありがとうございます。長いお話だらけですがお付き合い感謝しています。他の話も緩く更新は続きます……今後もよろしくお願いいたします。 (8月27日 16時) (
レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - 毎回表現の仕方が綺麗でほんと好きです。何度も読み返したくなるほどの作品です。毎日の楽しみの一つです。引き続き他のお話の継続も心待ちにしております． (8月26日 10時) (レス) @page42 id: 1643d0e7da (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。無事です、無事にいました。これからものろのろと書いて行きます。 (7月18日 15時) (レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - うずら様 コメントありがとうございます。長々と書いてお休みしてでしたが無事に終わりました。これからもよろしくお願いいたします。 (7月18日 15時) (レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - お疲れ様でした！いつもいつも胸に刺さるお話、凄いです。良かった〜無事で。低評価なんて気にしない気にしない嫉妬かかまってちゃん。楽しみに待ますます (7月18日 8時) (レス) @page42 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2023年2月21日 16時
