190 ページ40
.
アイツに送れてないLI〇Eのメッセージ
消しては書いて
消しては書いて
結局消す
そんな事を繰り返して気が付けば夏に入っていた。
.
「無理せず、いい和菓子をお願い致します。」
そんな言葉を贔屓客に言われて俺は深々と頭を下げる。
オヤジが亡くなったのはセミが鳴きだす前やった。
重体と言われ何度か山を越えて頑張ってくれたが最後は痛みから解放されて幸せに満ちた表情で眠りについた。事故の裁判はまだ先になりそうな中で亡くなった人が追加で2人足され合計3人。
重大な事故。
まさか自分がこういう出来事に巻き込まれるなんて思いもしなかった。職人気質のオヤジが潤滑油のようにしてうまくまとめていた人がいなくなり、職人でない俺が店を完全に統括していくことに反発
を食らうかと思うたけど、皆が助けてくれた。新しい店を出す事を無理に進めず今回は話をなかったことにして、今まで通りこの地でしっかり頑張って行こうと皆に説明したら逆に喜ばれた。
結果オーライかもしれへん。
.
「ゆうちんが……珍しい。」
少し後ろの方から聞こえた声に振り返ればマルがおって片手に買い物袋を持つ姿は完全に主夫か？と思う。
「買い出しか？」
「イエスイエス。珍しく外までお見送りですか？」
「まぁな。暑いのに元気やな。」
「さっきまで快適空間のお陰ですから。お暇ならいかがです？」
「商売上手やな。」
「ふつーですよん。」
なんて他愛のない会話も多少は意味あるのかもしれへん。
マルは今の店を完全に任され雇われ店長になったし、ヤスも気が付けば保育園で人気のお兄さん先生。
「そう言えば信ちゃん暇なんかな。」
「ヒナはさっき車出していたから客じゃないか？」
なんて返事を返すとマルは妙に納得した顔をする。
「さすが、ゆうちん。」
「さすがなんか？事務員さんがお菓子を買いに来た時にべらべら話していたからな。」
「まさかの情報先。あの方……こないだ煎餅1袋食べていましたよ、10分で。」
「ストレス発散には早食いなんかな。」
「信ちゃんの扱いがメッ！なんかな。」
「それあかんやつやん。」
店の子にマルの所にいると伝えるといい返事をもらって店まで少し歩いて行く。夏も半ばに差し掛かりまだまだ本領発揮している日差しとセミの鳴き声の中でマルは色々話をしてくる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瀬奈(プロフ) - うずら様 コメントありがとうございます。嬉しい言葉です。中だるみするかな？そう思いながら日々更新しています。これからも宜しくお願い致します (2022年12月2日 16時) (
レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
(名前)うずら(プロフ) - 毎日更新ありがとうございます。わくわくが止まりません。 (2022年12月1日 17時) (レス) @page42 id: 916cc9618b (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - ショーン様 コメントありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです。まだ続きそうなのですが、これからもお付き合いくださいませ。 (2022年12月1日 15時) (レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ショーン(プロフ) - いつも楽しみにしています。話の展開がワクワクしてきました。これからもよろしくお願いします。 (2022年11月30日 19時) (レス) @page41 id: 849d9c80b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2022年10月24日 16時
