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「なんで行動を?」
視線を横山さんに向ける。
「なにを?」
「あの出来事の張本人……ですよね?」
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血の気が引いて行く。
冷や汗と言うのがこうして出るのか?
そんなことを思って行くと急に喉が異常に乾いたことに気づく。冷え切った珈琲を何口か飲んでから僕は大きく息を吐き出す。
「張本人って言い方は嫌やな。」
「なら、きっかけを作った人?」
冷静に言う横山さんの言葉は凶器のように僕の何かを切り裂いていく。
「そこは分からへん。」
「あの日、俺と大倉があの場所にいるのをなんで知っていました?後を付けていたんですか?」
「それは……あのクズが……」
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無言の時間が続く。
こんなに重苦しい告白は僕の本にはない。
別の方の作品だ。
今までにない内容の話。
誰にも言うことなかった話。
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目を伏せ
息を吐き出し
ゆっくりと伝えるその言葉は……僕が閉じ込めておきたかった記憶の1つ
――――――「木村から連絡が来たのは朝。
あの日は酷く冷えた朝だった。胸に残ったしこりがずっと燻っていて、僕の行動は間違っていなかったか?そんな自問自答の日々を送っていた時に、木村は僕に言うたん。
奥さんが今までの出来事を全て知った。今までの件は全て大倉が原因、そう言いだしたって。
親にまで連絡して被害額を回収しようとしているから、どうしたらいいか?そんな質問を僕に投げつけられても爆破そこは知らへん。でも、そんなことをしたらマイナス行動だ言うて、奥さんを止めた方がええ。そんなアドバイスをしたん。
その時だった……
木村は僕に話し出したん。
大倉さんが一度事務所を辞めたあの当時から、木村は既に大倉さんから写真を買い取っていたって言う話。
奥さんはそれには気づいてへんけど、師弟関係に思えないくらい仲良かったのが許せなかったようで先輩使ってイジメて追い出した。そのせいで、木村は自分の腕が鈍ったことをまざまざと感じた。そんないらん告白の後にな、僕を苦しめるような言葉を言うたん。
それも聞きたくもない言葉。
この関係を完成させるために大倉は自分の元に戻ってきた。今度こそ、大倉を自分のものにしたいのに嫁は邪魔をするから離婚をして大倉と一緒に海外に挑戦しようかと思う……
なんでこのタイミングでそんな話を僕に?
僕は木村の考えがほんまに分からんかった。
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瀬奈(プロフ) - うずら様 コメントありがとうございます。無事に終わりました・・・一安心です。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年3月25日 15時) (レス) id: 070125caaa (このIDを非表示/違反報告)
(名前)うずら(プロフ) - 完結本当にお疲れ様でした。素敵な世界でした。ありがとうございました。 (2022年3月24日 12時) (レス) @page48 id: 916cc9618b (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。聖書やスゥエーデン語は確かに分かりにくいですね、すいません。書いていてこれは許される?そんな愛でした。ライトな話が重くなりましたが、終わりにできてよかったです。次回もまたよろしくお願い致します。 (2022年3月23日 9時) (レス) id: e0b2c0462c (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 完結お疲れ様でした。正直、旧約聖書やスウェーデン語はよく分かりませんが。愛するが故に…愛するがため…その人を奪い尽くしてしまいたい…。いいですねぇ〜一息ついたらまた倉丸のお話書いてくれたら嬉しいです。ありがとうございました。 (2022年3月22日 15時) (レス) @page48 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2022年2月12日 17時