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「大倉さんってさ。」
「なに？」
「モデルのフミカと付き合っていたのってマジ？」
急に言われた名前に俺は亮さんを見る。
「誰に聞いたん？」
「メイクさん。明日、大倉さんがはいる事を知って俺に教えてくれたん。フミカの元カレはカメラに行ったけど元々こっちの人間やって聞いてマジかってなって。」
「間違いちゃう？」
「え？でも、大倉さんの事ちゃうの？」
「違うと思いますけど。」
突っぱねる言い方をして視線をアシスタントの皆様に向けると「そっか。」なんて言い返された。
俺はじっと動いているアシスタントの動きを見てうっとりうしているんやけど、その足元でスマホ弄っている主役ってどうなん。
まぁ、関係ないんやけど。
背もたれに肩肘置いて眺めるのは昔っからの癖。
もうすぐ松本先生が来るみたいで空気がピリついてきたときやった。
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「RYO、なにしているの？」
聞きお覚えのある声に俺の体が一瞬反応する。
「なんや、フミカやん。なんでここに？」
「松本先生が来るって言うからご挨拶に来たの。」
「フミカなら松本先生がスタジオに来るんちゃうの？」
「どうかな、私なんてまだ……ま……」
何が起きるかなんてその時は分からなかった。
「忠義！」
名前を呼ばれ顔をゆっくりとフミカに視線を向けると大粒の涙が一気にあふれていて足元にいるRYOさんが「まじで？」なんて声が聞こえた直後に平手打ちの音が響いた。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年3月23日 16時
