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珍しい呼び出しだった。
会社に俺を呼ぶって言うのはめったにない。
いつも仕事は外で声をかけられてしている方だから変な感じに思いながら会社を覗き込むとあいかわらず忙しそうで受付のタブレット端末を使ってアポの時間と社長の名前をタップして1分もしないうちにダッシュできたのは横山くんだった。
「マジにごめん。」
両手を合わせて急に頭を下げて言われて「どうしたんです？」なんて言うと、横山くんは俺の手を引いて社長室に入って直ぐに言うた。
「大倉にお願いがあるん。」
「またですか？今度は何です？」
黙ったままいる横山くんを見てなんか嫌な予感しかなくて俺は椅子に座っておかれている雑誌を見ながらいるとスライディング土下座して言うた。
「お前が嫌な仕事。」
「絶対無理！」
「そこを何とかお願いしたいん。」
「絶対絶対絶対無理！」
「頼む、ほんまに今回いないねん。」
「スタッフの子にお願いしたらええやん。」
「それが出来たらしてる。」
「社長権限！」
「出来へんからこうして頭下げてん。」
「無理だって、俺は絶対したくない。」
「そこを何とか！」
「横山くんがしたらええやん。」
「俺のあれであれは似合わないの知ってるだろ。」
「筋肉付けすぎや。」
「大倉、頼む、ほんまに。」
「なんで、なんで？」
パニックの俺
慌てまくりの横山くん
もうどうしたらええん、これ
「どうしてもお前にしか頼めへん。」
嫌いな仕事TOP３の一つをしろって言うのはほんまに地獄。
「話聞いてから考えますけど、なんで？」
「あの……先日手伝ってもらったRYOの方からオファーがありまして。」
「なんの？」
「MVの撮影。」
「それはええ話だと思いますけどね。」
「そこで、どうしても……RYOがこだわっているのを撮影したいと言い出しまして。その……」
「俺が頼んで店長に言うからそれでええんちゃう？」
「いや、店長は薄っすら髭あるやん。」
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年3月23日 16時
