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「俺が辞める時の理由なんて、バイトの子に手を出したからっておかしない？」
「あかん、笑う。」
「俺はそこまであほちゃうし。」
店員さんが持って来たハンバーグと目玉焼きトッピングが輝いて見えちゃう素晴らしさ。思わず写真撮ったら横山くん苦笑いしているんやけど。
「なんで撮影？」
「絶賛ダイエット中やねん。」
「ダイエット？」
「俺のいる店は綺麗をウリにしてるんよ。ぽっちゃりさんでもビジュアル重視。」
「シビアやな。」
「金もらっている以上クオリティは保てって言うのが店長命令。」
「こだわりやな。」
「金もええから仕方ないんやけどな。」
「大倉がそんな仕事するなんて思いもせんかったんやけど。」
そんな言葉を言われ俺はハンバーグを口に入れて肉の味を噛みしめてから言うた。
「たまたま。」
「たまたま？」
「先生の仕事であの世界見て嫌いじゃなかったから。」
ほんまのこと。
嫌いだったら働かないって思うんよね。
「そっか。」
俺の言葉に横山くんは黙り込む。
「先生の下でもっと学びたかったんだけどね。」
「勿体ないで？」
「横山くんだってカメラ辞めて広告代理店に勤めるなんて思ってなかったし。」
「俺はまじめに才能ないねん。」
「どこが、むっちゃ綺麗な写真撮ってたやん。」
「あれは……たまたまやって。」
ぽつりと言う言葉に食いながら返事が出来ないのはお互い目指していた先が一緒だっただけに思わずそんなことを言うてしまう。
「写真は好きでも食うためには無理や。」
横山くんの言葉を聞いてから俺は目玉焼きの黄身をフォークでぷすり。
黄色い色がトロリと白いお皿に流れる。
スマホを手に取って俺はタップする。
綺麗な黄色より混ざった色合いの黄色は食欲をそそるって言うのをよく先生が言うてたな。
急に思い出した。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年3月23日 16時
