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お使いしてきた薬をバーテンに渡してから店長に事情を説明して、完全な出禁扱いになった先輩、おめでとう。そして、スズキさんに出禁男を連れてきたら同様の扱いになると早々に連絡する店長の連絡業務の速さ。
「しかし助けてくれた先生、かっこいいねぇ。」
腕を組んで妙に感心している店長なんやけど、お礼を言う間もなく連行されたんですけどね。あの人
って木村先生の所で見かけたことあるんだよな。
誰だったっけ……
「ゆゆちゃん、お客さんです。」
「はぁーい。」
頭を切り替えて俺はお客さんの待っているテーブルに向かった。
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「回し蹴りってSAS○KEに出る人しか出来ないと思った。」
真顔で言うと隣の席に座っているやつは大笑いしてから付け加えてきた。
「アイドルでもアクロバットできる人ならできちゃうと思いますよ。」
「もう、ミラクルすぎやって。」
化粧落としコットンをごみ箱に落としてから顔を洗いに洗面台に行き洗顔してからヘアネットを外して髪の毛を手櫛で直していく。深夜の時刻に化粧を落とすことなくそのままで帰る人は結構いるけど、俺はどうしてもそれが出来ない。ゆゆちゃんは家にまで持ち込まないのが一応のポリシーで、仕方ないってときのみにしたい。
今日着ていた服をカバンに押し込んでカツラをケースに入れてロッカー片付ける。毎日出勤の人のみに与えられたロッカーにはカツラやら靴やらそこそこな数が収納されている。服だけは洗いたいから持って帰る俺ってマメよな、ほんまに。
「お疲れ。」
そう声をかけると残っているやつらから同じような声が聞こえる。階段を下りていつものようにタクシーを拾おうと思って大通りに向かって歩いていると足が止まる。
いやいやいや
2回もばったり会うもの?
向こうは思いっきり驚いた顔をしてこっちを見ていて、俺は先生の顔を黙って見てしまう。
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2021年3月23日 16時