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一瞬戸惑ったのは声をかけた子。
「なんでもない、なぁ、大倉。」
「そ……そうです、なんでもないです。先輩している姿を見て驚いただけです。」
「なんで、驚くの!」
むっちゃ文句言いたそうな口調やったけど、それは仕方ないやん。考えたら有田は営業やった。後輩ちゃんが1名と思いきや残り2名現れて3名になった。
「お……大倉さん!」
「本当、大倉さん。」
「ここで会えるなんて。」
怒涛の言葉なんやけどこの様子を楽しんでいるのはキタミツで面白そうな顔してへんのは有田やねん。
「大倉、人気あるねぇ。」
「知らんし。」
「え?こうして後輩の反応見たらそうなるじゃない?」
「俺のフロアの子はむっちゃ冷ややかな対応やで。」
「ふぅ〜ん。」
「普通です。」
きっぱり言う言葉に納得してない顔をしているのは有田。高校生のノリって言うか3コイチの感覚なんかな……あそこで見かけた時も仲良く一緒やったし。
「有田の後輩?」
「そう、事務の子。木村さん、戸越さん、倉田さん。」
雑な言い方するのを見て入社の時から変わってへんってマジに感じる。本人は分かってへんけど、口調が微妙に変わるんよ、有田の場合。
「1年後輩?」
キタミツが素朴な疑問を投げかけるとは、この手を応える担当なのか木村さんが「3年下です。」と即答1年下ならなんやかんやで社内で関係持てるけど3年も離れたらほぼ無理や、分からんなって思うて
小さく頷いた時やった。
「お疲れ様。」
久しぶりに聞こえた声に俺は視線を向ける。
向こうはこちらを見て会釈をして足早に先にいる人のもとに行くと、楽しそうに話しているのがすぐに分かるんよね、キャッキャした声が聞こえるんやもん。背後の後輩3人がこそこそと会話している内容が完全にあこがれの先輩見て大興奮の会話で会社員じゃないな、このノリ。
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2021年1月18日 20時