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----ごめん、忠義
----私、やっぱり……あの人が好きなの
手のひらに置かれた合鍵
周りに知られる前に終わらせるのがお互いのためやって自分に言い聞かせていたのに、その時が来ると受け入れたくないって思うのは俺のわがままなんかな。
返事が出来なくて、あの時、なんて返事を返したか覚えてへん。
泣いていた彼女を離したくなくて抱きしめていたはずなのに、気が付くと1人で彼女がすり抜けたのはいつだったんやろ
ドアが閉まった瞬間に終わった
3年の月日
どんなにしんどくても辛くても理不尽な言いがかりされても耐えてこれたのは彼女がいたからなのに……
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「すっげえ頭イタイ。」
頭を押さえてソファーに寝そべると呆れた顔でオカンは俺を見てきた。
「何時まで飲んでたの？」
「5時まで。」
「なにしてんの、章大くんお勤めあったんじゃないの？」
「お勤めないから付き合って飲んでたん。ザルやで、章ちゃん。」
「こうちゃんそっくり。」
叔父さんもむっちゃ飲む人やった。気が付けば昼だし、予定ないから寝て過ごすのもありやって思っていたらそうもいかないのが俺の家でした。
「おやじにやらせたらええやん。」
「けがしたら困るじゃない。」
いや、俺も困るんですけど？そんな文句言えへんから脚立を抱えて門の近くにある植木の枝切り開始する。非公開の立て札と門が閉まってなければきっと拝観客が入ってくるんやろうな。人の流れを眺めながら俺は門の外に出ている枝を落としていく。小学校入学と同時にこの寺の管理を任されたんやけど、オヤジは仕事してるからオカンが1人で手入れするのはやっぱり限界よな。公開してないからのんびり作業は出来るけど。
「業者さん頼まへんの？」
下に落ちた枝を掃除しながらオカンは「梅雨前まで時間あるから。」なんて言うた。つまり、この辺一帯業者入れて一斉に剪定するまでこのままだと危険だから先に切っておこうって言う考えか。
ある程度の作業が終えて門の外に落ちた枝を拾っている時やった。
聞き覚えのある声が聞こえたんよね。
むっちゃ聞き覚えのある……「えぇ！」なんて声が完全に俺に向けられて言うてるのがすぐに分かったん。
「は？」
なんて言い返すと「大倉さん？」そう声が聞こえた。
「つぐみさん？」
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年1月18日 20時
