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親戚一同の集まりって苦手な理由は、近況報告は自分の口からしなさいって言う無言の圧が強いねん。オカンが正月あたりで話していません？なんて思うんだけど、うちの一族って上下関係めんどくさいくらい大事にしているから本家のおっちゃん集団が分家のうちらに「ほれ、話してみろ。」って妙な空気出していてほんま苦手。
視線感じて本家ゾーンに入っておっちゃんの皆様に挨拶をしていくとすぐにご機嫌なって「がんばれよ。」って言う応援エール貰うのがパターン。とにかくこの空気が嫌で廊下に出ると少し高い寺から見える景色は観光客の混雑であれもあれで苦手やなって思う。喫煙場所まで行って煙草を銜えた時やった。
「さすがオトンの念の込めた手紙の威力やな。」
ケタケタ笑って言われて俺はライターで火をつけた後に一息出してから言うたん。
「久しぶり。」
「久しぶりちゃうで？いくら親戚の集いに来たくないからな、日帰りは禁止やで。」
「爺さんおらんのに長く居座る気はないねん。」
「それ、ばぁちゃんにも同じように言える？」
「無理。むっちゃ怒られて終わるやん。」
「分かってるならばぁちゃんにも声かけてやって。そうでなくても忠義に会いたがってうるさいのに。」
「小遣いくれるかな。」
「29歳でまだ求める？」
「章ちゃんかてもらってるの知ってるで？」
「そりゃ、欲しいもん。」
思わずそんな返事返されて笑ってしまうと章ちゃんは腕を組んで階段に座り込んで言うたん。
「仕事忙しいん？」
「ぼちぼちかな。」
「おばちゃんから聞いたけど、本店に異動したんやろ？」
「そう、去年。」
「どうなん？」
「窓口勤務だから前と同じやって。」
「通勤時間は？」
「飛ばされた時みたいな時間はかかってへんよ。30分で着くから結構寝れる。」
「ならええけど、また問題起こして飛ばされたらあかんで？そうしたら、もう会社辞めて戻ってきたらええねん。」
「辞めてってそこまで？」
「そこまでやん。あの件かて忠義悪くないって部外者の僕でもわかるで？」
灰皿に灰を落としてから俺は章ちゃんの隣に座って「ありがと。」なんて言うとにんまり笑って俺の頭をポンポン叩いたん。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2021年1月18日 20時
