Yes and No (ページ25)

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「荷造りがんばれそ？」

『はい。なんか声聞けて嬉しくなってます。』

「なんで？」

『なんでかな?』

即答されて急に黙り込むのは俺もそうだし、倉田さんもそう

どれぐらい無言でいただろう。

「つぐみさん」

『え、は、はい？』

「緊張する？」

『かなり……してます。』

「会社と違うから？」

『もちろん、そうですって。大倉さん分かってます？大倉さんと話す事ってそりゃ、うちの同期に何言われるか分からないくらいの凄さなんですから。』

全く分からへん。

本店で倉田さんの同期おらんから余計わからんな。

「京都で会ったら笑うから。」

『それですよ、どこに行くか分からないから結構……ドキドキですよ。』

「この時期なぁ。」

『な、なにか？』

「紅葉はないよ。」

『えぇ、ないんですか？』

「紅葉は11月の終わりやもん。」

『えぇ、期待していたのに。』

「なにがあるんやろ。住んでいると全く分からへん。」

『そうなんですか？』

「前にも色々聞かれたんやけど、答える事出来へんかった。きっとな、観光客のが知ってると思うんよね。」

『そうなんですか。それより、不意打ちで名前呼ぶの驚きました。』

「あーーーー、何となく。」

『何となく何となく何となく？』

確認多すぎね？

「そう、何となく。」

小さく笑う声がなんか懐かしいなって思うたのは2本目の缶ビールのプルトップを開けた時やった。

夜中に話していたなって言う過去を未だに引きずっている自分がおって、抜け出そうとしているのに抜け出せないのは未練だけやない。

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