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緊急外来も落ち着いたし仮眠しようと思って、職員通用口の階段を上がっていく。
仮眠室は特別室のある高層階の一角。
小児科医室で寝てもええけど、今日の病棟の担当医が新入り。
寝れるわけないのが前回大変な目を経験して分かっとる。
だから仮眠室。




いつものように階段を使って上がり、フロアに出るとナースセンターに見覚えのない人が暇そうに雑誌を読んでいる。


何してん?




「波川。」



「横山先生、お疲れ様です。」



「なんで波川がここにおるん?内科病棟ちゃうで?」



「サヤ……えっと、木村が大倉さんにの所に行ってて。もう一人は見回りここ誰もいなくなるからお
留守番。」




「そもそも、なんでここにいるん?更衣室もここちゃうやろ?」




まさか木村に雑談しに来た言うたら報告もんやで?




「大倉くんに会いに。」



「……はぁ?」




「知り合いなんですよ、私。それで、なんで入院したのかな?そんな軽い気持ちでこの時間に。」




「職権乱用やん。」




「だからこの時間なんです。チーフには内緒で。」




ほんま軽い子や。






この手はあかんと思うんやけど、仕事が出来て患者受けがええから仕方ない。俺はポケットに手を入れて「考えておく。」なんて言うと困った顔してアピールしてくる。






マジに……仕事頑張れよ、お前は。




「何の確認しに行ったん?」





「それは私も教えてもらってません。担当医からの指示って話です。」



ほんまにあの件を確認するん?



真面目すぎや、外科の沢田先生。





「留守番しとけよ。」




「はーい。」



この軽さが内科の若い患者や年寄りの癒しになっているんかもしれん。特別室は6つ、稼働しているのは2つのみで一つはご年配ですでに就寝している。
微かな明かりが廊下に照らされているから今は木村が中にいるという事。





俺も聞くという行為はしたくないんやけど、隆平の深く考えてはない行動のせいでとばっちりを食っている。






念には念を入れた行動をせなあかんって昔から言ってるけど……あかんねん。

パンドラの箱を開けたのは隆平やし、当の本人はこれが危険な行動だって気づいてへん。


この件が世間に広まればそれなりの影響はある。







地元で中核の病院でマイナス運営でなければ、経営統合したいって考える大手の病院なんて多いのも知っているし、引き抜きも多いご時世にこの病院がええって残っている医師に悪い影響になるに決まっている。




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作者名:瀬奈 | 作成日時:2020年11月17日 16時

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