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「それは恋、こぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃぃ、恋やね。」
きっぱり断言した丸山さんは盆栽をじっと見つめだした。この急に変化球的な行動の差はなんとかならん？
「恋……？」
「そうそう、胸が苦しくて痛くてしんどいのはまさしく恋！」
「傷の痛みとかじゃなくて？」
「ちゃいます。」
「何か別の痛いのが発生したとかは？」
「ちゃいます。」
「恋？」
「そうですって。ドキドキしたり、キュンキュンしたり、もう考えるだけで苦しいっ！それが恋のスタートですって。で、この胡蝶蘭の3本のお値段はHamachi？」
仕事サボってきたのかと思いきや、開店祝いの花を買いに来ました。そんなことを言いながら俺の背後にくっついている。すぐに病院事務の方が来るんちゃうの？サボり認定されて。
「これは1万かな？開店祝いなら花が多い方が喜びますよ。」
「お、花屋らしくなってきたね。」
「バイトですけど。」
思わず笑って言うと丸山さんは横にある胡蝶蘭を見ながら腕を組み始める。
「忠義くんは恋は？」
「知らんから聞いたんやん。」
「知らんって。」
「そう言うの経験したことないねん。」
「でも、ヒモ生活では？」
「ヒモはいかに生活をさせてもらうかが大事で、そういう感情は俺にはないねん。相手は知らんけど。」
「相手は好きでも忠義くんは。」
「ない。キスをしても挨拶みたいな感じだし。」
「あらま。」
おばちゃんのような驚き方よな、でも……こんな相談できるの丸山さんが的確なきがする。ヤスだとまた謎な話に着地点ついて終わるのが目に見えている。
なら、すば るくん？
いや……あかん。あの日からこの手の話は一切受け付けないって感じやねん。
キスもなんでしたか……聞けなかった。
「子供の時に先生のことを見てドキドキとかもなかったんです？」
「俺、幼稚園も保育園も行ってへんよ。」
「え……」
「行ってない。いきなり小学校からスタートだったから揶揄われて、イジメられて。すば るくんが助けてくれなかったら引きこもりでこうして生活出来てへん。」
「それは、チカさんが？」
「よくわからん。何も考えてなかったんちゃうの？人との交流のスタートを躓いているから必死に小学校でスキルアップしたん。結構頑張ったんやで？」
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年11月17日 16時
