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「遊ぶ気がなかっただけ。」
そんな強気な言い方をすると丸山くんは笑って「似合わへんなぁ。」なんて言うんだから悔しくなる。カフェでも少し薄暗い照明の中にあるカウンター席のこの場所は駅の改札の１つ上の２階にあって人の流れを見ていくには最適で丸山くんは電車が着くたびに改札を通り抜けていく人を見ながら言う。
「園田さんは遊ぶイメージないですわ。」
「なにその言い方。」
「ほんまだもん。なんて言うか一筋って感じ。」
お見通しって顔をされて言う言葉にストローを動かす。
「そうかな？」
私の疑問に丸山くんは珈琲を飲んでから吐き出すように言う。
「僕ね、ずっと気になっていたんですよ。」
「なに？」
「園田さんは……大倉を見ていたのに何でヤス？って。」
突然の言葉に私は丸山くんを見詰めるとにんまり笑って「やっぱり。」と口にした。
「高校１年の時に大倉等のグループ結構やらかしていた時の視線。忘れへん、むっちゃ楽しそうに大倉を見ていたの。あれ見て、僕は勝ち目ないって思うたんやもん。」
言われた言葉に「過去の話だよ。」なんて笑って言うけど妙に心拍音が早くなっていくのが分かる。
忘れたくない記憶を丸山くんが呼び起こしてくる。
楽しそうに笑っていた……忠義を思い出すと苦しい気持ちに……
「デート？」
急に背後から聞こえた声に私が振り返ると満面笑みで男の人が２人、ノーネクタイって言うのは珍しいなって感じで私は会釈をした。
「違いますって、時間つぶしに付き合ってもらったんです!高校の同級生ですから。」
思いっきり焦った丸山くんは慌てて立って言う。
「へぇ、同級生？」
「村上さんの頼まれた先の店員さんだったんでそこで。」
急に振られて私は頭をもう一度下げると「そうなんや。」なんて満面笑み。
「欲しい言うからマルに買いに行かせたんやけど、かわいいデザインよなぁ。」
「ありがとうございます。」
小さく挨拶をした時にもう１人の人を見てなんとなく……そう……顔を見たことある人だって察知するのは、店に出るようになってから。
お客さんではない、誰だっけ？
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月26日 17時
