HEVEN-2 (ページ50)

今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:34,164 hit

95 ページ50

.

「大倉、ほんまに横山くん救いたいなら……もっと動かんと無理や。先輩は強敵や。」

「亮ちゃん…知っとるの？」

口角を少し上げて俺を見る。

「知ってるも何も……先輩結構一緒につるんでいたんやから。先輩の執着も……俺は見ているから。」

忘れていた。

亮ちゃんは先輩と仲が良い

「悪いが、俺があの人を救う。大倉は章大と仲良くしときな。」

まさか……亮ちゃんがそんなことを言うなんて

俺は自分のふがいなさ

何もできない悲しさで立ち尽くしているしかできなかった。

.

「残念やな。」

不意に後ろから声が聞え振り返るとマルちゃんやった。

「な……なにが。」

「亮ちゃんの言葉。あの言葉で結構ずきゅーんて感じやろ？」

マルちゃんの言葉は正解だ。

少し笑って言う言葉はもっと驚く言葉だった。

「僕かて、裕ちん狙っておるのにな。」

「ま……る……」

「別にえぇやん。しぶやんも……口にはしてないけど裕ちんを見ている。」

それは俺にとって衝撃的な言葉だらけだった。

「知らんの、大倉だけやって。」

初めて見るマルちゃんの表情に俺は言葉が出なかった。

「大倉が離れて皆が裕ちん狙う……すごいなぁ、ちょっとしたドラマやな。」

「マルちゃん……本当なん？」

口角を上げ怪しく笑う。

「ほんまや。」

不意にいつものにんまり笑顔になった。

「お祭りやな、これから誰が裕ちんの隣になるか。」

それ以上言わずマルちゃんは横山くんと亮ちゃんがいる楽屋に向かった。

みんなが横山くんを狙っている

.

誰が決めたわけではない。

横山くんを狙ってはいけないなんて。

ただ、グループでの暗黙ルールだったのを最初に破ったのは……

俺なのかもしれない。

「大倉、どこ行くん？」

ヤスの言葉に返事をしないで俺は目的の場所に向かう。

行動をしなければ意味はない。

横山くんの隣に立つために仲間を敵にしてでも動くしかない。

.

「横山くん、話があるん。」

.

END

あとがき

○年前に書いた作品を今回再掲載をさせていただきました。

色々制約のある毎日ですが、いつかこの作品の続きを書きたいと思うひびです。