83 ページ38
.
スマホのメール着信
メールならあの人ではない。
オレは差出人を見てきょとんとした。
大倉。
電話でなく？
添付もある。
なんやろう。
.
タップして素直に開いて数秒で頭の中が真っ白になった。
どこか冷静になっているジブンがそこにいた。
.
『大倉は優しいんや。』
遠回しに……自分がどこかで期待していた。
あんなに真剣に思ってくれたのは初めてやったし、いつもいつも自分の事を考えてくれた。
でも、どこかで不安もあった。
あの幻は本当やったのかもしれん。
「横山くんどないしました？」
どっくんが背後にくっついてきた。
「なん……関係ない。」
スマホをポケットにしまいテーブルに置かれたライターを手に取った。
「帰るんなら送りますって。」
「一人で帰れるし。そこまでアホちゃう。お前明日朝イチに仕事やろ。」
「なんで仕事知ってるんです？」
どっくんはきょとんとした顔でオレを見てきた。
「話を聞いていたから。」
そういうだけで笑顔になる。
.
なんでこんないいやつと別れるんやろ。
靴を履いてコートを着込みドアに差し掛かったとき、どっくんは心配そうな顔で玄関に来た。
「やっぱ心配ですって。」
「帰れる。」
「横山くんそう言ってこないだ迷子になった。」
「あれは考え事したら。」
「今日は考え事してませんか？」
「してへん、ひつこいやっちゃな。」
嘘ついた。
実はものすごく考えている。
電車間違えたらまた言われるから気ぃつけんとあかん。
「明日朝に電話で起こしたるから安心せい。」
「まじですか。じゃあ、寝ないで起きてます。」
「じゃあせん。」
「横山くん、鬼です。」
屈託のない笑顔でどっくんは笑う。
そしてすぐにどっくんはオレを抱きしめた。
「マジに、気を付けて帰ってください。」
.
なぁ、ヤス……
.
お前はどっくんのどこをみてたん？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月21日 20時
