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「あの人、オレがしないでくださいって何度も何度もお願いしたけど……聞いてくれんかった。」
「横山くん……」
「一気に不幸や。あんなに幸せな気持ちでおったのに……殴られて……なんなんやオレ。」
俺はそっと横山くんの体に触れた。
「だからって薬はあかんでしょ。」
「気持ち悪かったん。あの人に触られてすべてが気持ち悪くて何度も何度も体を洗っても消えなくて……気がおかしくなりそうで……」
「だからって……」
それ以上は言えなかった。
顔を上げた時に切れた唇を見てそれは逃げれない行為で横山くんを一気に苦しめている事だと感じれたから。
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「キスしてええ？」
俺の言葉に横山くんは頷いた。
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先輩もツアー前で時間ないらしく電話もそうそうかかってこなくて、珍しく静かな日々だった。
横山くんもそんなにしんどそうな表情もなくて正直このまま良くなるんちゃう？
なんて考えたけど、それは甘かった。
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着信音の過剰反応はどうしようもない。
一番は先輩が出ている番組を見ると表情が思いっきり強張る。
メンバーがいつしか何かあるって気づくのも時間はかからなかった。
でも、皆は先輩の人の好さを知っているから横山くんの反応を見ても信じられん顔をするばかりやった。
自分らのコンサートが無事に済みまた、それぞれバラバラになる時間が増した。
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作者名：瀬奈 | 作成日時：2020年3月21日 20時
