冬の刻-30 ページ40
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両手に感じた感触は忘れもしない。
血なまぐさい臭いも
肉を切り
骨を落とした感覚もあったのに……振り下ろした後に残ったのは真っ白い砂と彼が着ていたモノだけ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
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りょうさんの叫び声が聞こえる。
人を避け、ボロボロの布を抱きしめ泣いているりょうさんを見て、何が起きているか理解できなかった。
皇子の笑い声と持っていた刀が地面に落ちて何が起きているか理解できなかった。
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「バケモノを始末できたぞ!」
俺は……彼を失った。
バケモノは皇子や。
何度も心の中で呟く。
周りがざわつく中でトンビの鳴き声だけが耳に残って俺は手を見つめる。
彼を失った。
数回しか会ってないのにこんなに心が苦しくなる。
息苦しくなる。
胸元を押さえ俺は彼の名前を呟く。
「ごめんなさい……りゅうさん……」
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『忠義殿。』
彼の声が聞こえた気がする。
謝っても許されない
なんでこんなに苦しい?
何で?
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どうして?
自問自答を繰り返し
涙が止まらなかった。
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瀬奈(プロフ) - ミムラ様コメントありがとうございます。月詠記はあのまま置くのが一番と思い置かせていただきます。こちらは新たに書き足して進めていきますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2020年6月13日 16時) (レス) id: d70537b0b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - よかったです。世界観、書き表し方とても好きです。何度も読み返してます。消さないでほしいです。次も楽しみにしています。 (2020年6月11日 21時) (レス) id: 39731cc6b3 (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。前のお話をもっともっと向き合いたくて、まずは最初から書いてます。ゆっくりあのお話に繋げていきますのでお待ちくださいね。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: d24f83f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 良かった、前のお話凄く気になっててどうなるんかなぁって心配でした。有り難うございますゆっくり待ちます。 (2020年3月9日 7時) (レス) id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2020年3月3日 18時